仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。
どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。
◆先輩のミスを指摘する言葉
大切なプレゼンの前の打ち合わせ。先輩が自信満々に作ってきたプレゼン資料の方向性が微妙にズレている……。本人は「自信作だ」と言っているが、どうにもイマイチ。お互いの立場もあるし、感性の部分も大きいので細かく指摘しづらいが、どう修正を促すべきか?
◆客観的に証明が難しい場合は、「感想」のほうが相手も受け入れる
何かしらの事象に対して指摘する場合、大切なのは客観的な視点です。なので僕の場合、「指摘することが正しい」と他者が判断できる場合でない限り、へたな指摘をしないというのが安全なんじゃないかと思います。
他人から指摘されて喜ぶタイプの人もいますが、「攻撃された」とみなすタイプの人もいたりしますからね……。まずは事前に「その指摘は誰のためになるのか?」と、考えたほうがいいです。
例えば、明らかな言い間違いやミスがあった場合、指摘せずに放置することで、周りの人や自分が責任を負ったり問題が起きたり、何かしら損する場合とかですね。
そもそも指摘というのは、問題となる事柄を取り上げて示すこと。自分が指摘すべきだと思っても、実は自分が感じているだけで実際は問題にならないこともあります。
例えば、「ワゴン車を買いたい」と言っている人に軽トラックを薦めたら、一見すると要望からズレてるように見えます。しかし、その人の車の用途や予算の話を聞いていくと、「それってワゴン車じゃなくて、軽トラックで十分じゃないですか?」みたいなことは、結構あります。
自分が「正しい指摘」だと思い込んでいるだけで、間違った指摘の場合もあるといういい例ですね。
◆プレゼン資料の方向性だったら…
仕事も同じで、例えば「プレゼン資料の方向性が微妙にズレている」と感じることがあった場合、それを客観的に証明することは難しかったりすることが多いです。しかも、プレゼンの内容次第ではあえて方向性をズラしたほうがうまくいくこともある。
つまり、「ズレている」と感じる自分の感覚のほうが間違っている場合もあるわけです。
そして、そういった客観的証明が難しいことに指摘を入れることを攻撃とみなす人は存在しているわけです。
◆何も言わないほうがいい?
では、何も言わないほうがいいのかというと、それも違います。指摘ではなく「こう思う」という“感想”を伝えればいいのです。そのほうが攻撃だと思われず「これも一つの意見か」と、受け入れてもらえる可能性が高いからです。
このケースも、正確に言えば「プレゼン資料の方向性が実際にズレているかは判断が難しいけれど、私の感想としては微妙にズレていると思う」というものになります。ときには正しい指摘よりも、あくまで個人の感想として意見を伝えたほうが、すんなり物事が進むこともあると思いますよ。
◆先輩のミスを指摘するときは…
× 資料の方向性がズレていますよ
◎ あくまで私の感想ですが、方向性がズレている気がします
構成/杉原光徳(ミドルマン)
―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』