顧客の声を商品開発に活かし、売上60%増を達成
小父内 現在、「タマリバ」で行っている施策を教えてください。
佐々木 コンテンツメニューは大きく分けて5つあります。
1つ目は「しあわシェア」です。タマチャンショップの商品に対する感想や、日常の嬉しかったことや楽しかったことをみんなでシェアしてもらう場になっています。今まではお客様によってSNSに投稿されていたものをここに集約しています。
2つ目は「わたしのひとさら」です。タマチャンショップの商品を使ったレシピを集約する場となっています。お客様から日々、さまざまな商品の活用方法がアップされています。
3つ目は「目安箱」です。お客様からのリクエストや質問などをここで受け付けており、コミュニティスタッフがなるべく早く回答していきます。タマチャンショップのカスタマーセンターは別にあるのですが、カスタマーセンターとも連携しながら回答しています。
4つ目は「回覧板」です。キャンペーンやイベントなどタマチャンショップ側からの大切なお知らせをこのメニューで実施しています。現在は毎月30名のコミュニティメンバーが当選するプレゼントキャンペーンをやっています。
5つ目は「食通新聞」です。このメニューでは読み物を掲載しており、私が実施したコミュニティメンバーへのインタビューをまとめた記事などがあります。
小父内 聞いただけでもすごく楽しそうです。先日、コミュニティ内のファンの声を活かし、ヘルシーなおつまみ「キノコッチ」という商品をリニューアルしたそうですね。販売の状況やお客様の反応、社内の反応はいかがですか?
佐々木 「キノコッチ」はスケジュールがタイトだったこともあり、我々も完全に納得した状態で商品をリリースできたわけではありませんでした。そこで、一旦リリースした後にコミュニティメンバーから意見を募集し、その声をもとに新しい味の開発を進めていきました。リニューアルした後、売り上げが約60%上がり、商品への評価も20%ほど改善しました。今では「キノコッチ」は健康おやつ商品のひとつの柱として、ずっと売れ続けています。社内でもリニューアルした「キノコッチ」は好評で、その経験からもお客様の声を商品に反映させる重要性を社員に理解してもらえました。
小父内 実は「キノコッチ」は私も大好きでリピートさせていただいています(笑)。商品改善にも寄与したコミュニティですが、開設前、抱えていた不安などはありましたか?
佐々木 コミュニティを開設するとポジティブな声ばかりでなく、ネガティブな声も集まってくるのではないかという不安がありました。しかし、実際には本当にやさしくて温かい世界観でコミュニティの運営ができています。この状況は私の想像を超えており、コミュニティメンバーのみなさまがそれぞれ楽しめるように居心地の良い空間をつくってくださっていると感じています。
小父内 コミュニティを運営する側としては、やってみないと分からないことも多いですし、不安もありますよね。弊社のお客様の多くも、最初は不安そうです。しかし、佐々木さんと同じように、やってみたら想像以上にポジティブで温かい場になっていると驚かれます。ちなみに、今後お客様と何か共創していく計画はあるのですか?
佐々木 ゼロから商品開発を進めていくのは少し体力が必要なので、まずはある程度の形ができている商品のサンプルをお客様に送ってフィードバックをもらうということを積極的にやっていきたいと考えています。実際にコミュニティメンバーのみなさまもそのようなことをしたいと考えてくださっている方が多いので、弊社としても非常に心強く感じています。
また、オンライン上の交流だけではなく、オフラインでのお客様との接点も増やしていきたいです。実際にお会いするとお客様の「熱狂度」を感じることもできるので、そのような機会を増やしていければと考えています。
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コミュニティ内での交流が促進する、顧客のロイヤル化
小父内 コミュニティ運営を通して、ファンの方と触れ合う場面もあると思うのですが、これまで見てきたなかで、印象的なユーザーのことやエピソードがあれば教えてください。
佐々木 あるお客様の話なのですが、「タマリバ」に参加するまではタマチャンショップの商品を4つほどしか購入していなかったところ、タマリバに参加してからは約60商品を購入してくださったという方がいらっしゃいました。タマリバ内でさまざまなメンバーがアップしてくださっている口コミやレシピを見て、購入を決めていただいたそうです。私の想像以上に、タマリバで得られる情報の存在は大きいみたいですね。
小父内 およそ15倍ですか! すごいですね。それはきっと、「タマリバ」というコミュニティが信頼できる場になっているからこそだと思うのですが、佐々木さんはどのような見解をお持ちですか?
佐々木 口コミやレシピを投稿してくださる方はたくさんいらっしゃいますが、投稿にはその方の人柄が出てきます。それらに触れるうち、投稿者自体のことを好きになるということがあるのではないかと考えています。実際に「この人が紹介している商品なら間違いない」というような認識をされているお客様が多く、安心して新しい商品を注文してくださっているのだと思います。自分が信頼している投稿者が紹介している商品を購入してみて、その商品の良さを感じていただき、また別の投稿を見て、新しい商品を買いたくなるというサイクルがうまく回っていると感じていますね。
小父内 それは理想的なコミュニティの姿ですし、信頼関係が育まれている証拠です。理想型のオンラインコミュニティが形成されているわけですが、どのようなKPIを設定されているのですか?
佐々木 当初は、登録者数を増やすことをKPIとして定めていたのですが、コミュニティを運営していくうちに、単純に登録者数の多さではなく、アクティブユーザー率を上げることのほうが重要なのではないかと気付きました。今後はアクティブユーザー率を維持していくような施策に注力していく予定です。
小父内 ネクストステップとして、実際にメンバーの方に行動してもらうことを重視しているのですね。個人的には、「タマリバ」というコミュニティの名前も秀逸だと思います。
タマチャンショップ好きの人が集まる場所ですし、口コミやレシピがストックされていく場所でもあります。開設して1年でここまで成長しているのは、驚きしかありません。
佐々木 本当にコミュニティメンバーのみなさまには感謝しかありません。2023年の9月にはコミュニティメンバー主導で「タマリバ」のオフ会も開催されました。タマチャンショップの商品を使った料理を提供して交流するようなイベントだったのですが、朝から仕込みを行うなど、本当に熱量高く取り組んでいただきました。