遺産分割協議書の作成に必要な書類

遺産分割協議書の作成には、さまざまな書類が必要となります。ここでは、遺産分割協議書の作成に必要となる主な書類を紹介します。なお、ここで紹介する書類は遺産分割協議書を作成するためだけに必要となるのではなく、実際に遺産の名義変更や解約をする際にも必要となるものです。そのため、遺産分割協議書を作成する段階で書類を集めておくとスムーズでしょう。

「被相続人の出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本等…最新の戸籍謄本だけでは不十分な理由

被相続人の相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本が必要です。

被相続人の子どもは原則として相続人となりますが、最新の戸籍謄本を見ただけでは、被相続人の子どもを全員確認できるわけではありません。なぜなら、現代の戸籍は「夫婦と子ども」で編成されることとされており、被相続人の子どもが婚姻をしたり子どもが産まれたりした場合は、被相続人の戸籍から抜けることになるためです。

しかし、出生時点などには被相続人と同じ戸籍に入っていることが原則であるほか、婚外子や養子などであっても認知をした時点や養子縁組をした時点で被相続人の戸籍に表示されます。そのため、出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本を確認することで、被相続人の子どもを洗い出せるようになります。

なお、相続人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪である場合は、これに加えて被相続人の父母それぞれの出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本も必要です。これにより、父母の子ども(つまり、被相続人の兄弟姉妹)を洗い出せるためです。

また、被相続人の子どものなかに被相続人より先に亡くなった者がいる場合はその亡くなった子どもの出生から死亡までの連続した戸籍謄本等も取得しなければなりません。なぜなら、この場合にはその亡くなった子どもの子ども(被相続人の孫)が代襲して相続人となるためです。

自分で集めることが難しい場合は、弁護士などの専門家へご相談するとよいでしょう。取得手数料は、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本と原戸籍謄本は1通750円です。

(広告の後にも続きます)

「相続放棄」をした人がいる場合は必要な書類が増える

相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書は、相続人全員の印鑑証明書とセットで使用することが原則です。なぜなら、印鑑証明書があることで、遺産分割協議書に押した印が実印であることの証明ができるためです。印鑑証明書を代理で取得するには印鑑登録カードなどを預かることになるため、よほど信頼している同居の家族などでない限り、代理での取得は難しいでしょう。

そのため、印鑑証明書は各相続人に取得してもらったうえで、遺産分割協議書への押印時に預かるようにするとスムーズです。印鑑証明書の取得費用は市区町村によって異なりますが、1通200円から400円程度であることが一般的です。

相続人全員の戸籍謄本

相続人が生存していることを確認するため、相続人全員の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本の取得費用は、1通450円です。

被相続人の住民票除票

被相続人の最後の住所を確認するため、被相続人の除票が必要です。除票は、被相続人の最後の住所地を管轄する市区町村役場で取得できます。取得手数料は市区町村によって異なりますが、1通200円から400円程度です。

相続放棄をした人がいる場合は相続放棄受理証明書

相続放棄をした人がいる場合は、その者についての相続放棄受理証明書が必要です。相続放棄とは、相続開始後一定期間内(原則として3ヵ月以内)に家庭裁判所に申述することで、はじめから相続人ではなかったことになる手続きです。

正式に相続放棄をした者はもはや相続人ではないことから、遺産分割協議に参加する必要もなければ、遺産分割協議書に署名や押印をもらう必要もありません。その代わり、本当に相続放棄が受理されたことを確認するため、相続放棄受理証明書が必要となります。相続放棄受理証明書は相続放棄をした者が取得して送ってくれることもありますが、家庭裁判所へ請求することで、ほかの相続人が取り寄せることもできます。

財産の特定書類

遺産分割協議書は作成後、遺産の解約や名義変更などの手続きに使用します。そのため、財産を特定したうえで、それぞれの財産を誰が取得することになったのか明確に記載しなければなりません。財産を明確に記載するため、遺産分割協議書に記載する遺産の種類に応じて次の書類などが必要です。

・不動産:全部事項証明書(法務局で取得)、固定資産税課税明細書
・預貯金:預貯金通帳または残高証明書
・有価証券:残高証明書
・車:車検証