生前贈与の成立に欠かせないポイント

生前贈与のお金は「受け取った側」が管理する必要がある

贈与は、「あげます」「もらいます」という両者の合意が必要です。この点はAさんと娘もできていたのですが、贈与は受贈者(=お金を受け取った人)がそのお金を自分の責任で管理し、いつでも自分の意思でお金を引き出せるようにしなければなりません。

今回の場合、遺言書の内容から、贈与したお金を親のAさんが管理しており、Cさんは贈与されたお金を自由に使える状態になかったことが明らかでした。

さらに、贈与の意思があるという両者の合意も「口約束」であり、贈与契約書など客観的に証明できるものは存在しません。そのような理由から、贈与が認められなかったようでした。

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日本で行われている税務調査の実態

国税庁より公表された資料によると、最新の2022事務年度(令和4年7月~令和5年6月)の相続税の実地調査件数は8,196件(前年比129.7%)で、税務調査率は5.4%でした。

2020事務年度以降、新型コロナウイルス流行の影響で税務調査の件数は大幅に減少していましたが、コロナが以前より収束に向かっていたこともあり、前年より増加。コロナ前の相続税の税務調査率(約12%)までには戻っていないものの、今後ますますの増加が見込まれます。

税務調査が入った場合、申告漏れを指摘される割合は約87.6%といわれています。つまり、税務調査は「入られた時点でほぼ確実に追徴税を課される」のです。

税務署は調査対象を選ぶ際、亡くなった人の銀行預金などについて事前に銀行に問い合わせ、口座の動きなどを確認しています。そして、申告漏れを指摘できそうなところを探しだし、重点的に調査を行っているのです。