視覚効果と家具の配置

広さのほかに「視覚効果」も考えておく必要があります。壁紙の色でいえば、とにかく無難なのが白です。お洒落なイメージを出すために濃いグレーなどの壁紙を使っている部屋もあるものの、それだけでも部屋はずいぶん狭く感じられます。壁紙が白だと、部屋が広く見え、解放感が生まれます。グレーであっても〝薄いグレー〟であるなら、視覚効果は白に近くなります。

壁の色は部屋全体の雰囲気や印象を変えるので、好きな色を選ぶよりも、白や薄めの色を選んでおくのがおススメです。フローリングも最近は明るい色のものが増えてきました。それもやはり解放感と関係しているのでしょう。ダーク系のフローリングは傷が目立ちやすく、修繕しても誤魔化しにくい。退去時に大家さんとモメないためにも、明るい色のフローリングを選んだほうが無難です。

私の専門である「脳」の観点からいえば、目に入ってくる情報が多いほど脳は疲れやすいことがわかっています。デイトレーダーのようにパソコンを複数台並べていると、脳疲労が起きやすく、長い時間、集中を続けるのが難しくなります。そういう意味でいっても目移りしにくい背景やレイアウトにすることが大切です。

デスクなどの主要家具の配置もよく考える必要があります。デスクの向きによっても、集中できるか、落ち着けるかが変わってきます。窓や部屋の入り口との位置関係に左右されるところも大きいといえます。窓に向き合うか、窓が右側か左側にくるようにするか。最初から決めつけてしまうのではなく、それぞれ試してから決めるのもいいでしょう。

デスクの配置によって他の家具の置き方も変わってくるので、家具などを最初からすべて揃えてしまうことにはリスクがあります。その意味でいっても、最初は最小限の家具から生活をスタートさせるのもいいでしょう。ミニマリストになることを勧めるわけではありません。しかし、最初からなんでも揃えすぎると〝いらないモノ〟や〝置き場所に困るモノ〟が出てきます。

家具などにしても、あまり慌てず、必要に応じてレイアウトを考えながら配置していくのがいいのではないかと思います。

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浴室やキッチンをどう考えるか

3点ユニットバス(バス、トイレ、洗面台が同じ空間に配置されているタイプ)の部屋も、最近は敬遠されがちです。トイレとバスが同じ空間にあるのは快適ではない、カビが生えやすい、トイレットペーパーが湿っぽくなりやすい、といったことが理由として挙げられます。広々とした洗面台の有無も重要ポイントになります。

独立洗面台がなく、バス、トイレ、洗面台の3点ユニットバスだったり、バスと洗面台が一体化した2点ユニットバスだったりすると、「歯磨きや洗顔がしにくい」と言う人もいます。独立洗面台の有無は家賃にも関係してきますが、たとえ家賃が上がっても独立洗面台が欲しいと考える人は増えているようです。キッチンを重視して、「コンロは2口欲しい」と言う人もいます。

ただそこは生活スタイル次第になる部分です。私の経験からの判断にはなりますが、ひとり暮らしで料理をする人はそれほど多くはありません。初めてのひとり暮らしなので自炊もやっていこうと思っていた人でも、いざとなるとなかなか料理らしい料理はしないものです。そうだとすれば、立派なキッチンがあるために家賃が高い、というような部屋に住んでも仕方がありません。最初からキッチンは重視しない部屋選びをすればいいのです。