「トマ・ピケティが不等式「r>g」で証明したとおり、サラリーマンはお金持ちになれません」…こう語るのは、数億円の資産を得た元メガバンカーの坂下仁氏です。今回は坂下氏の新刊『新版いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)より一部を抜粋・再編集し、なぜサラリーマンのままではお金持ちになれないのか、そしてお金持ちになるにはどうすればいいのかについてご紹介します。
サラリーマンのままではお金持ちになれない理由
法人(資本家)は節税できますが、個人(サラリーマン)は節税できません。まずはそこから説明しましょう。
たとえば、課税所得が330万円超の人の実質的な税負担率は60%です。従業員が負担する社会保険料は15%だと思われていますが、労使折半する建前で給料を逆算するので、実質負担は30%です。それゆえ実質的な税率は、所得税20%+住民税10%+社会保険30%=60%になります(わかりやすく控除等を除きます)。
手取り400万円のサラリーマンは本来、1,000万円の収入があったということ。給与明細に載らないので気づきません。財務省によると2020〜2023年の潜在的国民負担率(税金+社会保険料)の平均値は6割弱でしたが、なるほど、つじつまが合います。
サラリーマンと好対照なのが法人(資本家)。日本の法人の99%以上を占める中小法人の実効税率は約20%なので、1,000万円の収入があれば、手取りは約800万円です。稼ぎが同じ1,000万円でも、資本家は800万円、サラリーマンは400万円ですから、2倍も差がつくのです。
サラリーマンから見れば理不尽ですが、資本主義社会とは資本家のための社会なので、社会の仕組みも法律も資本家に有利になっていて、簡単には変えられません。どうりで、「資本による富のほうが、労働による富よりも増える」というトマ・ピケティの不等式「r>g」が成り立つわけです。
社会や法律を変えられない以上、自分が変わるしかない。どう変わるのか? 自分が資本家に変わればいいのです。「資本家になれるのはお金持ちだけ」というのが常識なので、「自分にはムリ!」と思われるかもしれません。でも、そんな常識は捨て去ってください。なぜなら、お金持ちが資本家になるのではなく、資本家がお金持ちになるからです。
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夫は個人(サラリーマン)のまま妻が法人(資本家)になる
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。それは妻を社長にすることです。夫はサラリーマンを続けながら、夫婦でプライベートカンパニー(自分法人)をつくり、妻に社長に就いてもらうのです。プライベートカンパニーは3時間もあれば誰でもつくれます。あとは、それを妻が所有するだけ。すると、サラリーマンでは考えられないような節税が可能になります。
ただし、プライベートカンパニーをつくっても、ビジネスに失敗してしまってはますます貧乏になってしまいます。 そこで、優れたスキルを持つ妻に社長をやってもらうというわけです。これを私は「妻社長メソッド」と呼んでいます。
この10年で世の中は様変わりしました。『LIFE SHIFT』が出版されて、100歳まで生きる前提で人生設計をしなければならないことに、誰もが気づきました。その影響か、職を探す65歳以上の高齢者がこの10年で倍増し、今後さらに増えます。会社には65歳以降の雇用義務がないため、手に職がない高齢者は選り好みできません。
新型コロナで混乱するさなか年金法が再改正されました。生まれ年が1970年代なら70歳前後まで、1980年以降なら75歳前後まで、年金がもらえなくなる可能性も出てきました。
もし妻社長メソッドを実行できれば収入は途絶えません。相続税も2015年に引き上げられました。これも相続税がかからないので、関係ありません。妻を社長にすることにはさまざまなメリットがあるのです。
坂下仁
お金のソムリエ協会会長
※本記事は『新版いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。このメソッドによる結果に編集部は一切責任を負いません。自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。