「50歳で地方移住して、子どもの頃から夢だったごはん屋さんをやりたいなぁ」
伊藤啓子さん、50歳。大学卒業後、就職とともに地元・山口県から東京へ。おひとりさま生活を満喫しながら、アパレル業界で27年間、東京で働いてきた。現在は、アパレルの仕事を続けながら、自分の夢であるお店のオープンのため山口と東京の2拠点生活に。伊藤さんが移住を決意し、実現するまでの思いとプロセスを語っていきます。
第1回は移住先を決めるまでの紆余曲折のお話。
移住を考えている人はもちろん、何かを始めたいと思っている人――チャレンジは何歳からでも遅くない。
そんな元気をくれるストーリーです!
移住を決意した42歳
「50歳で地方移住して、飲食店をやりたい」
40歳をすぎたあたりから、ぼんやりと10年後の未来を考えるようになりました。
とはいえ、仕事は好きで、東京の生活は刺激的で、そもそも移住する勇気がなく、具体的に動くことはありませんでした。
しかし42歳のとき、仕事のストレスもあり絶不調に。貧血と生理痛に悩まされたある日、大きめかつ複数の子宮筋腫が発覚、人生初の手術を決断。手術は母を頼りに実家の山口県で受けました。
開腹手術だったため、術後はベッドから動けず一週間の入院生活。じっと天井を眺めながら、これからの人生について考えました。
仕事も東京の生活も嫌ではないが、今の仕事を60歳以降も続けるのは、ちょっとつらいし、会社は60歳で定年。 子どもの頃からの夢、ごはん屋さんは、いつかやりたいな。
でも経験のない飲食業を、60歳から移住して始めるのは少し遅い。
50歳くらいで移住して、おばあちゃんになっても続けられる自分の基地みたいなお店ができたら。
両親のことを考えると(介護もあるかも)、地元に近い場所のほうがいいな。
「よし! 50歳までには地方移住しよう‼」
42歳、入院生活で私が手に入れたのは、健康になった体と、移住への決意でした。
↓退院の帰り道、虹がかかっていた。「私の決意を応援してくれている気がして」と、今でもお守りにしているお気に入りの写真。
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移住先は「旅」をしながら ~一目ぼれの尾道~
当時、伊藤さんはパートナーと都内のマンションでふたり暮らし。お互い旅好きで一緒に出掛けることも。
移住先を探す過程も楽しもうと、旅行をしながら、移住先を決めることに。
実家のある山口県に近づきたいから、西日本中心に旅が始まりました。
最初に訪れたのは、ずっと行きたかった尾道。
「今すぐ住みたい! イメージしていた移住先、そのままだぁ~」
住むイメージを持ちたくて、レンタル自転車で町中を探索。
一番惹かれたのは、穏やかな海。
「尾道いいね!こんな場所なら、俺も移住したいよ‼」と一緒に来ていた同い年のパートナー。
実は彼には「50歳で移住」の話は一度もしていませんでしたし、結婚も考えてはいなかったから、「ひとりで移住する」つもりでした。でも、ふたりにとって未来の仕事や生活がイメージできる場所を探す必要があるのでは? 「ふたりで移住」の選択肢が増えた尾道の旅となりました。