配偶者が亡くなると「相続」が始まります。とはいえ実際に相続人のひとりとして遺産相続を進める立場になった場合、大半の人はどうすればよいか理解していないかもしれません。相続トラブルを回避するには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか? 本稿では、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して、相続の注意点について、ケース別に解説します。

手続き:配偶者に先立たれたときにすべきこと

配偶者が自宅で亡くなったときはまず、かかりつけ医がいれば連絡しましょう。特に病気もなくて自宅で亡くなった場合は、救急車を呼ぶか、警察に連絡しましょう。死亡が確認されたら、死亡診断書や死体検案書を作成してもらいます。

事件性があれば、司法解剖などが必要な場合もあります。この死亡診断書は死亡届と一体になっていますので、死亡届に必要事項を記入して、配偶者が亡くなってから7日以内に役所に提出してください。

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解説:相続するのはどんなもの?

配偶者が亡くなると、相続が始まります。財産の内容によって、相続財産になるものとならないものがあります。

たとえば、生命保険の死亡保険金は、保険契約の対価として支払われるので、相続の対象ではありません。ただし、相続税の対象にはなるので注意が必要です。

マイナスの財産に注意

「私の家は、貯金もないし、夫は借金してたくらいだから、相続は関係ない」というのは間違いです。借金や未払いの税金などの「マイナスの財産」も相続されます。

マイナスの財産が多い場合は、「相続放棄」(民法第915条)の手続きをすべきです。相続放棄すれば、配偶者が残した借金を支払う必要はありませんが、放棄しない場合は支払わなければなりません。

相続放棄は、「相続の開始を知ったとき」から3カ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。ほとんどの場合、配偶者であれば亡くなったことはすぐわかりますので、「亡くなってから3カ月以内」と覚えておきましょう。

財産の全容が不明で調査に時間がかかりそうなときは、家庭裁判所に相談すると期限を延長してくれる場合がありますので、遠慮なく相談しましょう。

なお、プラスの財産とマイナスの財産の両方があって、相続したほうがいいのか、相続放棄したほうがいいのかわからない場合は、専門家に相談しましょう。