若いうちから自律した生き方と働き方を!
――老後のことが視野に入るのは40代くらいからと思いますが、それまでに何をしておけばいいですか。
坊美生子さん 現在、働き方改革が進んでいます。企業の仕事と育児の両立支援策も充実し、男性の育休取得に力を入れる企業も増えています。正社員であれば、子育て中でも働き続けやすくなりました。そうした制度を活用して、キャリアを中断せず、さらに、育児をしていても、キャリアアップをあきらめずに、しっかり働き続けてほしいです。
若いうちは、自分が生涯、独身であることや、離婚することを想定する女性は少ないと思いますが、現実に、女性の生涯未婚率は18%であり、夫婦の3組に1組は離婚しています。さらに、年を取るほど夫が先立つケースが増えるため、女性は80歳になると、半分以上はシングルです。
ですから、シングルが多い今の時代、特に高齢期になると「夫は仕事、妻は家庭」という男女役割分業は役に立たないのです。大黒柱だった夫が先立てば、女性自身が大黒柱になるしかないのです。今はパートナーがいる女性も、「まさか」に備えて、自律した働き方、生き方を描いてみてほしいです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
坊 美生子(ぼう・みおこ)
ニッセイ基礎研究所生活研究部 ジェロントロジー推進室兼任 准主任研究員
2002年読売新聞大阪本社入社、2017年ニッセイ基礎研究所入社。
主に中高年女性の雇用と暮らし、キャリアデザインを研究。日本は世界の中でもジェンダーギャップが最低ランクで、働く女性の賃金や老後の年金にも大きな男女格差があり、老後の女性の貧困リスクは増している。
そこで、女性がもっと自律的に、生き生きと暮らしていくためには、社会全体のジェンダーギャップ解消が必須と考え、多くの研究リポートを発表。また、生活者の視点から、高齢者が利用しやすく、外出促進につながる移動サービスのあり方についても研究。現在、和歌山放送ゲストコメンテーター。