あらためて読み返したい、名作たちをチェック!
◎『くちびるから散弾銃』(講談社)
代表作のひとつ『東京ガールズブラボー』の主人公でもあるサカエと、その友達のなっちゃん、ミヤちゃんの、延々と繰り広げられる怒濤のガールズトーク。他作品にも大きな影響を与えた、ある種のフォーマットを創った作品といえそう。あとがきによると、テーマは「大人になりたくない女の子たちのあがき」。岡崎作品の真骨頂、ともいえるパワフルな一作です。
『東京ガールズブラボー』(宝島社)
雑誌『CUTiE』で1990年より2年間にわたって連載。北海道のサブカル高校生・サカエが、両親の離婚によって東京に転校することに。憧れの東京で夜遊びや友情、恋を経験するさまが、当時のファッションやスポット、有名人といった固有名詞をふんだんに交えながら、リアルに描かれます。「音楽とおしゃれが三度の飯より大好き」で、買い物中毒であるサカエの性格は岡崎さん自身にそっくりだそう。
『カトゥーンズ』(KADOKAWA)
『月刊カドカワ』に連載されていた連作短編集。たて笛の授業がイヤで本の中に入ってしまった小学生のまりあちゃんから始まり、それぞれの物語がつながっていく構成がお見事! ページをめくるだけでも楽しい、絵本のような一冊です。
『ジオラマボーイ★パノラマガール』(マガジンハウス)
平凡な女子高校生・ハルコが、優等生なのに高校をドロップアウトしたケンイチにひと目ぼれする…という、王道のボーイミーツガール物語。著者にとっては長編2作目となる作品ですが、村上春樹や大島弓子作品からの引用があるなど、のちの作品にもつながる、“らしさ”が見て取れます。2020年には瀬田なつき監督・脚本によって映画化も。
『危険な二人』(KADOKAWA)
見た目は派手だが、実は恋愛経験のない夢見がちな「セーコちゃん」と、おしとやかだがすぐに男性と関係を持ってしまう「ヨーコちゃん」。性格は正反対だけど、固い友情で結ばれているふたりの関係と、素敵なダーリンに出会うまで。こちらも岡崎作品に特徴的なシスターフッドが描かれています。
『うたかたの日々』(宝島社)
フランスの作家・詩人であるボリス・ヴィアンの小説『うたかたの日々』をマンガ化。資産家のコランと美しいクロエは盛大な結婚式を挙げるが、その直後、クロエは「肺に睡蓮がつく」という奇病に侵され、寝たきりに。必死に治療費を稼ぎ、看病を続けるコランだが、クロエは衰弱していき……。描かれる線の美しさにもうっとりさせられます。
『女のケモノ道』(文藝春秋)
岡崎さんを含めた、仲良しの女性3人のとりとめのないおしゃべりと、フルカラーのマンガで構成。『くちびるから散弾銃』にも通じる、女性同士ならではのパワフルで機知に富んだ会話が楽しい作品。なお、その3人のうちの2人は実は架空の人物とのこと。あらためて、キャラクターを生み出す力と想像力に驚かされます。
※品切重版未定
『オカザキ・ジャーナル』(平凡社)
週刊誌『朝日ジャーナル』に1991から2年間連載されていたコラムと、『広告批評』の宗教人類学者・植島啓司との往復通信をまとめたもの。テーマは自身のごく身近なことからテレビ番組、湾岸戦争といたニュースまでさまざま。90年代から2000年代にかけての空気感を懐かしく感じるとともに、岡崎作品の文章がなぜあれだけの吸引力を持っているのか、その理由が分かるような気がする一冊です。
『小泉今日子と岡崎京子』
著/米澤泉
¥1,760(幻冬舎)
大人の女には、道をはずれる自由も、堕落する自由もある――。「少女マンガを超えたマンガ家」が種を蒔き、「型破りのアイドル」が開花させた“別の”女の生き方 気鋭の社会学者が豊かに読み解く。