映画やドラマ、音楽、ネット配信動画などを倍速で見る人がこれほど多いとは!
NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年9月24日に発表した「若年層ほど『倍速視聴することがある』10代男女で約7割」によると、10代男女で約7割、60代・70代シニア男性でも5割近くが倍速で動画を見ている。
74歳のJ‐CASTニュースBiz編集部記者は、どうにも納得できない。早回しで見たら、動画の良さが失われてしまうではないか。調査担当者に話を聞いた。
学校の先生の7割が「倍速視聴」をしている!
倍速視聴とは、テレビや映画、ネット配信などの動画を、速度を変えて再生(視聴)すること。
倍速といっても単に2倍にするのではなく、1.2倍や1.5倍など好みの速度で視聴する場合に使われる。速度を上げるだけでなく、0.75倍や0.5倍などに下げる場合も倍速視聴と呼ぶ。
モバイル社会研究所の調査(2024年2月)は、全国の15歳~79歳の男女5719人が対象。
まず、「倍速視聴をすることがあるか」と聞くと、全体では5割強の人が「ある」と答えた。
性年代別で見ると、若い層ほど多く、10代男女・20代女性は約7割、20代男性・30代男女・40代男性は約6割が「ある」と答えた。シニア層でも4~5割が倍速視聴をしている【図表1】。
職業別に聞くと、学生と教職員が最も多く約7割に達した。公務員、会社員で約6割【図表2】。
続けて、動画でよく見ているコンテンツごとに聞くと、「ゲーム」「教養・学習・自己研鑽」「アニメ」をよく見ている人が6割を超えた。ただし、これは「ゲーム」を見る時に倍速視聴しているかどうかを調査したわけではなく、普段ゲームをよく見る人が、倍速視聴をよくしているかを聞いている点が要注意だ【図表3】。
また、シーン別で動画を見ている人に倍速視聴しているかを聞いたのが【図表4】だ。「通勤・通学・外出の移動時」が7割以上、「夜寝る前に布団の中で」も6割を超えた。これも、「通勤・通学・外出の移動時」に倍速視聴しているかどうかを調査しているわけではない点が要注意だ。
(広告の後にも続きます)
シニアでも、家事など忙しい時「タイパ」で倍速視聴をする
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したモバイル社会研究所の佐藤仁(ひとし)さんに話を聞いた。
――まずは基本的なことをお聞きしたいと思いますが、74歳の私は倍速視聴というものをしたことがありません。ただ、録画したドラマがかったるいときは、先送りボタンを押して「途中を飛ばす」ことはよくあります。今回の調査において、そういうことも「倍速視聴」に入るのでしょうか。
佐藤仁さん 「途中を飛ばして」視聴していないのであれば、タイムパフォーマンス優先という意味では類似した行動かとは思いますが、私たちの調査では、「途中を飛ばす」ことは倍速視聴に含んでおりません。
――若い人ほど倍速視聴が多いのは、今おっしゃったZ世代に多いといわれる「タイパ」(タイムパフォーマンス)重視の影響でしょうか。それにしても、私と同年代の70代シニア男性でも5割近くいることが実は驚きです。
佐藤仁さん ご指摘の通り、若い世代はタイムパフォーマンスを重視していると言われています。
「自分の見たいものを、短時間で効率的に(たくさん)見る」ための手段として、倍速視聴をしているのだと思います。YouTubeや多くの動画配信が倍速視聴に対応しており、若い世代ほど、スマホなどのICT機器を使いこなしていることは要因の1つかと思います。
また、本調査ではスマホなどのインターネットでの動画視聴だけでなく、テレビ視聴時の倍速視聴も含まれています。そのためシニア世代でも録画したテレビ番組などを倍速視聴して見られる方が一定数いるのだと思います。
また、シニアの方も一定数、家事などご多忙の合間でテレビ番組やスマホで動画を見ているのでタイムパフォーマンスを意識して倍速視聴されている方がいらっしゃるのだと思います。