築50年の住宅は「床がきしむ」「夏は暑くて冬は寒い」などの問題を抱えていることが多く、リフォームするなら大規模になりがちです。どれくらいの費用がかかるのか、建て替えたほうがいいのかなど、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、築50年の住宅をリフォームする費用の目安や建て替えを選んだほうがよいケース、リフォームする際に優先すべきリフォーム内容などを解説します。実際のリフォーム事例やリフォーム時の注意点、使えるローンや補助金なども紹介しますので、参考にしてみてください。

1.築50年の住宅をリフォームする費用相場

築50年の家をリフォームするときには、約1,500万円以上が必要になるのが一般的です。

築50年の戸建て住宅のリフォームにかかる費用相場

述べ坪(建物の各階の床面積の合計)(単位:万円)
20坪

(66㎡)
30坪

(99㎡)
40坪

(132㎡)
50坪

(165㎡)
60坪

(198㎡)
1500~

2000
1800~

2500
2200~

3000
2600~

3400
3200~

4400

※内装・外装ともにスケルトンリフォームした場合の前提

※木造軸組み工法の建物の前提

※税別の前提

上記の費用は、骨組みだけを残してあとは全部作り変える、と呼ばれる大規模なリフォームをする場合の費用です。

築50年の家は、近年の家と比較すると住宅性能が低く、耐震性や暮らしやすさが劣ることから、リフォームに際しては内装だけでなく、耐震性能や断熱性能を高める必要があります。あわせて配管や配線もやりなおすため、スケルトンリフォームやそれに近い大規模なリフォームになる傾向があるのです。

なお、表の価格に開きがあるのには、以下の理由が考えられます。

家の劣化度合い

水回りなどの設備や建材のグレード

施工業者 ※一般的に地元の工務店は安く、大手リフォーム会社は高い

建物の構造部にまで劣化が及んでいる場合は、新築よりもコストがかかってしまうことも。見積もり次第では、建て替えを検討するのが賢明です。

>>優先すべきリフォームと費用についてはこちら

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2.築50年はリフォームか建て替えどちらがいい?

築50年の家は、リフォームと建て替えのどちらがいいかを考えるときのポイントを解説します。

リフォームがいい場合

まずは、リフォームがいい場合を紹介します。

構造体に重大な欠陥が生じていない

築50年の家であっても、基礎や柱、梁(はり)などの主要構造部分に雨漏りによる腐食やシロアリ被害が発生していなければ、リフォームで済むと考えられます。

ただしそのためには、専門家による耐震診断を受け、構造上の問題がないか判断してもらうことが重要です。

20~30年以上住む予定がない

木造住宅の基礎・躯体の耐用年数は60〜70年とされているため、築50年の家をリフォームしても、住宅寿命はせいぜい20〜30年しか延びません。いくら内外装が新築のようにきれいになっても、構造体は築50年のままであるためです。

そのため、リフォームは「あと20〜30年住めればいい」と考えている場合に向いています。リフォームは基本的には建て替えよりも費用を抑えられるので、コストパフォーマンスがよくなります。

今の家を残したい/活かしたい

「自分が建てた家に最後まで住みたい」「思い出がつまった家を取り壊したくない」など現在の家に愛着がある場合や、古民家などで建築当時のデザインや素材を活かしたい場合もリフォームを選びましょう。

耐震性能や断熱性能などの住宅性能を高めつつ、愛着のある家具との調和がとれるリフォームをおこなえば、満足度が高まります。

「再建築不可物件」の住宅

今の家が「再建築不可物件」の場合は、リフォームを選ばざるを得ません。再建築不可物件とは、建築基準法が定める接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならないこと)を満たしておらず、建て替えが許可されない物件です。

なお2025年4月には建築基準法の改正が予定されており、再建築不可物件では、建築確認申請が必要になる大がかりなリフォームはできなくなります。再建築不可物件のリフォームを検討している場合は、早めにリフォーム会社に相談するのが賢明です。

詳しい情報や対策方法については、こちらをご覧ください。

法改正でリフォームできなくなる?2025年建築基準法改正の影響

建て替えがいい場合

続いて、建て替えを選ぶほうがいい場合を紹介します。

構造体の劣化がひどくリフォームでは対応が難しい

耐震診断を受けた結果、家を支える柱や梁(はり)などの構造体の劣化がひどいとわかった場合は、建て替えを選ぶのが無難です。構造体までリフォームするのは費用が高額になり、新築するのと変わらなかったり、新築以上に費用がかかったりする可能性があるためです。

シロアリ被害が広範囲に及んでいる場合も、安全性を確保するために、建て替えが適切な選択となるでしょう。

リフォーム費用が建て替えと変わらない

リフォームの規模が大規模な場合、費用が建て替えと変わらないことがあります。とくに耐震補強や設備の全面更新、間取りの大幅な変更をともなうような大がかりなリフォームだと、場合によっては建て替え費用を上回ることもあります。

仮に同程度の費用でリフォームを選択したとしても、住宅の寿命が新築を上回ることはありません。「どうしても今の家を残したい」という事情がない限りは、建て替えを選んだほうが経済的といえるでしょう。

間取りやデザインを一から考えたい

ライフスタイルや家族構成の変化にあわせ、間取りや家のデザインを完全に刷新したい場合も、建て替えが適しています。木造住宅は、構造上どうしても抜けない柱や梁(はり)があることから制約があり、思い通りの間取り変更ができない場合があるためです。

その点、建て替えであれば、今の家族構成やライフスタイルにあわせた効率的な空間設計や、理想の外観デザインへの刷新が叶います。

住宅性能を最新のレベルにしたい

高い耐震性能や断熱性能を備えた家で暮らしたいときも、建て替えを選びましょう。

築50年の家は、1981年5月31日以前の旧耐震基準で建てられており、また断熱性能も、断熱等級1(無断熱)もしくは断熱等級2(旧省エネ基準)しかありません。

建て替えを選択すると、最新の耐震基準に沿った耐震性と断熱等級を備えた家で、安全・快適に暮らせるようになります。

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