秋が深まると、冬のボーナスが気になるもの。国内最高峰の企業が集まる東証プライム上場企業(2024年8月31日現在1644社)の社員はいくらもらうのだろうか。

民間調査機関の一般財団法人、労務行政研究所(東京都品川区)が10月3日に発表した「2024年の年末一時金(ボーナス)の妥結水準」によると、平均83万5133円(対前年同期比3.4%増)で、1970年の調査開始以来、過去最高額を更新した。

90万円以上は、輸送用機器、鉄鋼、電気機器

労務行政研究所の調査は、9月9日までの時点で労働組合との間で妥結・決定した企業183社が対象。産業別にみると、製造業は前年同期比3.2%増、非製造業は同4.3%増と、ともに増加した【図表1】。トップ10位を見ると――。

1位 輸送用機器 94万807円
2位 鉄鋼 93万1513円
3位 電気機器 92万1683円
4位 ガラス・土石 89万8917円
5位 機械 88万842円
6位 化学 86万5824円
7位 繊維 84万7547円
8位 ゴム 82万1000円
9位 その他製造 79万5694円
10位 精密機器 78万5167円

また、年末一時金妥結額の推移を見ると、新型コロナの影響で2021年に71万5553円まで減少したが、その後は回復傾向にある。

2022年には78万6945円(前年同時期比8.5%増)と大幅に増加、2023年は80万28円(同1.5%増)に達した【図表2】。

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上昇の背景は、各社が基本給引き上げに踏み切ったこと

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した労務行政研究所『労政時報』編集部の橋本拓巳さんに話を聞いた。

――1970年の調査開始以来の過去最高額とありますが、ズバリ、これほど高いボーナスとなった理由は何でしょうか。

橋本拓巳さん 冬のボーナス支給水準が高まっている背景には、物価上昇対策や採用競争力の強化、社員のモチベーションアップをねらいに、各社が基本給の引き上げに踏み切っていることが、原因の一つとして挙げられるかと思います。

厚生労働省「令和6年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によれば、民間主要企業348社における春季賃上げの平均妥結額は1万7415円(前年1万1245円)、賃上げ率は5.33%(同3.60%)となり、賃上げ額・賃上げ率ともに昨年を大きく上回っています。

――個別の産業別をみると、「電力」(対前年比11.2%増)、「紙・パルプ」(同9.4%増)などが突出して高い一方、「非鉄・金属」(同1.3%減)のように減っている業種もあります。それぞれどういう理由からでしょうか。

橋本拓巳さん 大変恐れ入りますが、個別業種の増減については、回答を控えさせてください。集計の都合で、多い業種でも数十社、少ないと数社となっています。その関係で、分析が困難という事情があります。

――今後、東証プライムを含めた上場企業の冬のボーナス状況はどうなっていくと予想しますか。

橋本拓巳さん 好調な企業業績、高止まりする物価動向、人手不足などを背景に、2024年冬季一時金も堅調に増加するのではないかと考えております。

――今回の調査で特に強調しておきたいことがありますか。

橋本拓巳さん とにかく、「1970年の調査開始以来の過去最高額」という点に尽きます。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)