ハンバーガーに虫、カップ焼きそばにゴキブリ…自社製品が炎上したとき「安易な削除要請」はNG。ひろゆきが考える“ズルい”言いまわし

仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。

どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。

◆自社製品が炎上したときの交渉術

自社製品に問題があり、お客さんがクレーム動画をネットに上げたところ炎上騒ぎに発展してしまった。自社の不手際は認めつつ、なんとか穏便に事態を収束させたいがどうしたものか……。こちらが不利にならないように情報を消してもらうには、どう伝えればいいのか?

◆有名人気分を味わいたい人には、安易な削除要請は悪手になる

 今では日常の出来事をネットにアップする人が増え、なかには自分が買った商品への不満やクレームをアップする人もいます。最近だと、某チェーン店で注文したハンバーガーに虫が入っていたらしく、その衝撃的な写真が一気に拡散されていました。

 企業からすればネガティブ情報を放置してはさらなる非難を招きかねないので、なんとか穏便に火消しをしたいと思いますよね。そこで写真をアップした人に連絡をするわけですが、その際の対応次第では余計に醜聞が広まることもあります。

 特に「アップした情報を削除してほしい」と依頼するのは注意が必要です。

 数年前にも某カップ焼きそばの中にゴキブリが混入していた写真が出回り、メーカーの担当者が謝罪に行き、「お互いのため」とSNSの情報を削除させて品代を返金した話がありました。その結果、カップ焼きそばメーカーはさらに炎上してしまったのですね。

 これはまさに悪手。SNSは承認欲求を満たすツールでもあるので、「商品代をもらうくらいならネット上でネタにしていっときの有名人気分を味わいたい」と思う人もいます。「消さないと不利なことになる可能性もある」みたいなことを言えば、話を脚色されて拡散されることもあるわけです。

 そもそも、ユーザーが自分に起きた事実をSNSにアップすることは法律に触れません。ぶっちゃけ、話を盛ったり脚色したりするのも自由。つまり、“自分が正しいと思わせるようなことを書き放題”という、平等ではない状況です。

 仮にSNSに虚偽のクレーム情報を掲載しても、確実に虚偽である証拠を出せない“悪魔の証明”状態なので対応不可能なのです。

◆エスカレートして金品を要求したら…

 だから、「お互いのために」とか、相手へのデメリットを伝える言い回しはしないほうがいい。あくまで「消去の判断はお任せします」としつつ、「こちらはお詫びの品です」と、何かを贈ればいいのかと。

 そのうえで、相手がエスカレートして金品を要求したら、今度はゆすりになるので裁判をすればいい。さらにSNSで相手が炎上をさせようとしたら、事後のやり取りを事実として伝えればいい。

 まともな対応の事実があれば結果的に炎上をさせているほうにネガティブな目が向けられ、逆にイメージがよくなることもあります。遠回りの感じもしますが、そのほうが最終的にはスムーズにいくのではないかと思いますね。

◆自社製品が炎上したときの交渉術は…

× 動画を消去してくれませんか? そのほうがお互いのためです

◎ こちらはお詫びの品です。消去の判断はお任せします

構成/杉原光徳(ミドルマン)

―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』