成功を夢見ているだけ、運やツキが巡ってくるのをただ待っているだけの人に、果たしてチャンスはやってくるのでしょうか。またチャンスがやってきたとして、それを生かしきることができるのでしょうか。本記事では、桑原晃弥氏の著書『株式投資 100の金言』(さくら舎)から一部抜粋し、賢人を例に成功の秘訣をご紹介します。
欲しいものを手に入れる一番確かな方法は、欲しいものに相応しい人間になろうと努力すること
「お金を愛するだけではお金持ちになれない。お金があなたを愛さなければならない」はユダヤの格言ですが、若い頃から「お金持ちに相応しい人間」になろうと努力したのが、ウォーレン・バフェットの「相棒」と呼ばれたチャーリー・マンガーです。
マンガーの若い頃の夢は「金持ちになること」でした。理由は「フェラーリが欲しかったわけではなく、ただ一本立ちしたかった」からです。
マンガーはハーバード大学をはじめ、3つの大学に学び、弁護士となった秀才ですが、当時から不動産投資に励む一方で、「脚が生えている本」と呼ばれるほどの膨大な読書によって自分を鍛え、厳しい行動規範によって正しい人間であろうと努力し続けています。
やがてマンガーは、年下ながら「天才」と認めるバフェットと出会いますが、両者にはベンジャミン・フランクリンばりの厳しい行動規範と並外れた読書量という共通点があって意気投合します。
マンガーの影響もあり、バフェットは「素晴らしい企業をまずまずの価格で買う」という投資スタイルを確立、2人はバークシャー・ハサウェイの経営者として圧倒的な成功を手にすることになります。
成功を心底願うなら、成功に値する人間になるための努力が欠かせません。
そうした努力を続けていればこそ、必ずチャンスが訪れるし、バフェットやマンガーのような巨大な雪の玉をつくることができます。
(広告の後にも続きます)
運も、ツキも、これを迎え入れられる準備のおさおさ怠りないところへやってくる
「奇跡を願っても良い。しかし、奇跡を頼ってはならない」や「幸運を願っているだけではいけない。幸運に協力しなければならない」などの格言があります。
誰しも幸運を願い、大きなツキや奇跡の訪れを夢見るものですが、かといって可能性の少ない幸運や奇跡をあてにして何かを始めると失敗することのほうが多いようです。
世の中にはたしかに「ツいている」「運がいい」と言われる人がいます。
トヨタ自動車「中興の祖」と言われる石田退三は1950年、資金繰りの悪化から倒産の危機に瀕したトヨタを救うためにと請われて社長に就任します。
当初は「貧乏くじを引いた」と言われますが、間もなく朝鮮戦争が起こり、朝鮮特需によってトヨタはかつてないほどのトラックの大量注文を受け、一気に業績が回復します。
世間は石田のことを「ツいているだけ」と言いますが、石田によると、大量の注文を獲得するためにトヨタは懸命の努力をしていますし、米軍の厳しい検査に合格するトラックをつくるだけの技術を日ごろから蓄えていたからこその成果でした。
石田によると、運やツキは偶然ではなく、それを迎え入れる準備をしているからこその運やツキなのです。投資がうまくいかず、逆境にあると人はつい努力を怠りがちですが、そんな時にも腐ることなく努力をする。
運やツキに恵まれるためにはやはり相当の努力や準備が欠かせないのです。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト