遺産分割を自分で進めることが難しい場合や、相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合、対応を弁護士に依頼することが可能です。弁護士にはどのようなことを依頼できるのでしょうか? また、遺産分割への対応を弁護士へ依頼する場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか? 本記事では、遺産分割の弁護士費用について、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

遺産分割を弁護士へ依頼する場合の費用相場

遺産分割を弁護士に依頼する場合の費用や報酬の計算方法は、それぞれの法律事務所によって異なります。なぜなら、弁護士報酬は自由化されており、各事務所が自由に定められるためです。そのため、遺産分割について依頼した場合の具体的な費用を知りたい場合は、依頼を検討している先の事務所に確認する必要があります。

ただし、自由化される前の日本弁護士連合会による旧報酬規程をベースに報酬を設定している事務所も存在します。弁護士報酬の目安を知りたい場合には、旧報酬規程が1つの参考となるでしょう※。

ここでは、遺産分割について弁護士に依頼した場合にかかる費用の種類を紹介します。実際の報酬額は事務所ごとに異なるほか、依頼する業務の内容によっても異なるため、あくまでも参考としてご覧ください。

初回相談料

遺産分割について弁護士に依頼したい場合、まずは初回の法律相談をしたうえで、正式に依頼するかどうかを決めることが一般的です。相談料は、30分あたり5,000円から1万円程度が目安です。

着手金

遺産分割について弁護士に依頼した場合は、着手金が発生することが多いでしょう。着手金とは依頼する時点で支払うものであり、結果に関わらず支払いが必要となる費用です。遺産分割事件の場合、着手金は20万円から40万円程度が目安となります。着手金が安価である代わりに成功報酬が高く設定されているなど、事務所ごとに特色があります。

成功報酬

成功報酬とは、弁護士による案件処理の内容に応じて発生する報酬です。成功報酬は、経済的利益に対する割合で定められることが多いでしょう。遺産分割事件の場合、成功報酬は5%から15%程度が目安となりますが、最低額が別途定められていることもあります。

日当・実費

弁護士へ遺産分割について依頼する場合、報酬のほかに日当や実費がかかる場合もあります。実費は依頼する業務の内容によって異なるものの、数千円から数万円程度であることが一般的です。日当は1日あたり3万円から5万円程度が目安ですが、はじめから報酬に日当が含まれている場合もあるため、あらかじめ確認することをおすすめします。

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遺産分割の弁護士報酬は誰が負担する?

遺産分割について弁護士へ対応を依頼する場合、弁護士報酬は誰が支払うのでしょうか? ここでは、順を追って解説します。

依頼者が負担するのが原則

弁護士費用は、弁護士に依頼した者が負担するのが原則です。相続人のうち一人が依頼する場合はその者が負担することになり、数人が共同して依頼する場合はその数人が分割して負担することとなります。もちろん、ほかの相続人が分割して弁護士費用を負担することに合意する場合には、ほかの相続人とともに負担をしても構いません。

相手方に負担させることはできない

不法行為による損害賠償事件などの場合には、損害額と併せて相手方に弁護士費用の一部を負担させることもあります。

しかし、遺産分割事件はその性質上、「勝ち・負け」を決めるものでもなければ、誰かが一方的に「悪い」わけでもありません。そのため、相手方に弁護士費用を負担させることはできないのが原則です。

たとえば、一部の相続人が遺産分割協議に関する連絡を無視し続けたことなどによりやむを得ず調停や裁判に至った場合などであっても、原則として、相手方に弁護士費用を負担させることはできません。