遺産分割に関して弁護士に依頼できることと費用の目安
遺産分割に関して弁護士に依頼できることと、それぞれの費用の目安をご紹介します。紹介する金額はあくまでも目安であり、実際に依頼をご検討の際は相談先の事務所へご確認ください。
相続人調査
相続人調査とは、戸籍謄本や除籍謄本などを辿り、故人(「被相続人」といいます)の相続人が誰であるのか確定する手続きです。相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合や、相続開始から数十年間にわたって手続きが放置されていた場合は、相続人の調査にも大変な手間がかかるでしょう。そのような際は、弁護士に相続人調査を依頼することができます。相続人調査を弁護士に依頼する場合の費用の目安は、10万円から20万円程度です。
相続財産調査
遺産分割協議を行う前には、被相続人の遺産を洗い出さなければなりません。どのような遺産がどの程度あるかわからなければ、遺産分割協議をすることが困難だからです。しかし、被相続人が一人暮らしであった場合や、被相続人が家族に対して財産の話をしてこなかった場合などには、どこにどのような遺産があるのかわからない場合もあるでしょう。そのような際は、弁護士に相続財産の調査を依頼することができます。
相続財産調査を弁護士に依頼した場合の費用の目安は、20万円から30万円程度です。ただし、遺産の数が多い場合や、調査が難しい遺産がある場合は、追加の費用がかかる可能性があります。
遺産分割の代理交渉
遺産分割協議は当事者同士で行うことが原則ですが、弁護士に代理で交渉してもらうことも可能です。先ほど解説したように、遺産分割協議の代理交渉を依頼した場合の弁護士費用の目安は次のとおりです。
・着手金:20万円から40万円程度
・成功報酬:経済的利益の5%から15%程度(最低報酬額あり)
遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求とは、遺言書や生前贈与などで自身の最低限の取り分(「遺留分」といいます)を侵害された場合に、侵害された遺留分相当額を、遺産を多く受け取った者に対して請求する手続きです。この手続きや交渉を弁護士に依頼する場合の費用の目安は次のとおりです。
・着手金:20万円から40万円程度
・成功報酬:経済的利益の5%から15%程度(最低報酬額あり)
なお、ほかの相続人から遺留分侵害額請求をされた場合も、弁護士へ対応を依頼することが多いでしょう。その場合の費用も、請求する側の報酬と同等となるのが一般的です。
遺言執行
遺言執行とは、被相続人が遺した遺言書を遺言書どおりに実現する手続きです。遺言執行を弁護士に依頼する場合の費用の目安は遺産総額によって異なり、最低30万円程度から、かつ遺産総額の1%から2%程度であることが多いでしょう。なお、弁護士に遺言執行者への就任を依頼する場合、遺言書を作成する時点で、遺言者自身が依頼することが一般的です。
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遺産分割に関する弁護士費用が高額になりやすいケース
遺産分割に関する弁護士費用が高額になりやすいのはどのような場合なのでしょうか? ここでは、弁護士費用が高額になりやすいケースを3つ紹介します。
遺産が多額である場合
1つ目は、遺産が多額である場合です。遺産分割に関する弁護士報酬は、その人が獲得した経済的利益の額によって変動することが一般的です。そのため、遺産が多額であり、その人が獲得する遺産が多ければ多いほど、弁護士費用も高くなる傾向にあります。
相続人の数が多い場合
2つ目は、相続人の数が多い場合です。相続人が多い場合はそれだけ相手方の数が増えるため、弁護士報酬が高くなる可能性があります。
調停や審判にまで発展する場合
3つ目は、裁判外での協議がまとまらず、遺産分割調停や遺産分割審判にまで発展する場合です。遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停に移行して解決を図ることとなります。遺産分割調停とは、家庭裁判所で行う話し合いであり、調停委員が当事者から交互に意見を聞く形で進行します。遺産分割調停を成立させるには、相続人全員による合意が必要です。
遺産分割調停が不成立となった場合は、遺産分割審判へと移行します。遺産分割審判とは、諸般の事情を考慮したうえで、裁判所が遺産のわけ方を決める手続きです。遺産分割協議への対応を弁護士へ依頼している場合、遺産分割調停に移行した時点で追加報酬が発生するのか、遺産分割調停までは同料金で遺産分割審判へ移行した際に追加料金が発生するのかは、事務所によって異なります。そのため、料金内で対応してもらえる範囲についても、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。