Q. 60歳で退職したら、すぐ年金をもらえるの?
A. 繰上げ受給で早くもらえますが、受給額は減ります
国民年金と厚生年金は、原則として65歳から給付されますが、60歳から65歳になるまでの間に早めて受け取ることも可能です。これを年金の「繰上げ受給」といいます。
繰上げ受給をするためには、原則として国民年金と厚生年金、両方の手続きを同時に行う必要があります。ただし、厚生年金のうち、特別支給部分に関しては後述する減額の計算方法も少し異なります。
■繰上げ受給のデメリットを知っておこう
繰上げ受給をすると、受け取れる年金の受給額が減ってしまいます(1ヵ月早めるごとに0.4%減)。また、1度繰上げ受給を選択すると、生涯、年金が減額された状態で受給し続けることになります。年金は老後の大事な収入源ですから、基本的に繰上げ受給はおすすめしません。
加えて、繰上げ受給をすると障害年金の受け取りや国民年金の任意加入などもできなくなってしまうため、老後生活を長期的なスパンで考えながら、慎重に検討する必要があります。
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Q. 定年後も働き続け、年金がなくても平気なら受給開始を延ばせる?
A. 繰下げ受給を選択すれば、受給期間を延ばせます
繰上げ受給とは逆に、65歳で年金を受け取らず、受給開始の年を66歳以降75歳までの間に繰り下げる「繰下げ受給」という制度があります。
年金受給の期間を繰り下げる代わりに、繰り下げた期間に応じて増額(1カ月遅らせるごとに0.7%増)した年金を受け取ることができる制度です。繰下げ受給をするには請求手続きを行いましょう。
したがって、「働けるうちは労働収入で生活して、働けなくなったら年金で生活する」という選択もできます。
■繰り下げできないケースもある?
平均寿命程度まで生きれば、年金を繰下げ受給したほうが得をするといわれています。そのため、「自分は健康だし、人並みに長生きできる」という自信があるのならば、年金を繰り下げて受け取ることを検討してみてもよいかもしれません。
なお、障害年金や遺族年金を受け取る権利がある場合は、原則繰下げ受給ができな
いことも覚えておきたいところです。
三原 由紀
プレ定年専門FP®