2024年10月5日、首相官邸公式Xが石破茂首相の就任後初めての地方出張となる石川県能登地方への訪問について、「決意を新たにされました」と敬語を使ったポストを行ったことが波紋を広げている。翌6日には「表現の適正化」を行ったとポスト。この表現にも違和感を持つ人が多かったようだ。

「総理の方を被災された国民より恭しく扱っている表現になりません?」

石破首相は5日、能登地方を訪れ、1月の地震や9月の大雨の被害の様子を視察した。

首相官邸公式Xは同日、青い防災服姿で避難所などを視察する石破首相の動画を添え、「石破総理は能登の被災地を訪問し、お一人お一人と話され、困難な環境下にある人々のために力を尽くす決意を新たにされました」と報告した。

首相官邸Xは首相にとっていわば「身内」であり、これまでの投稿で首相に対して敬語を使うことはほとんどなかった。

こうした背景から、投稿には「石破氏は皇族か何かなのですか?」「『お一人お一人と話され』だと、総理の方を被災された国民より恭しく扱っている表現になりません?」敬語を用いた表現に疑問の声が相次いだ。

著名人らも反応しており、俳優の松尾貴史さんは大元のポストを引用し「官邸発信で、石破さんに対するこの敬語の使い方に違和を感じます」と投稿。

佐藤正久参院議員(自民)も「日本語が変、なぜ、総理官邸が広報用Xで、石破総理に敬語使うのか? 違和感満載のツイート。明日、背景を確認する」としていた。

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「『適正化』とか…謝罪することに、抵抗あるのですか?」

多くの指摘を受け、首相官邸公式Xは6日、元となるポストに続ける形で「10月5日の投稿について、一部、表現の適正化を行いました」と投稿し、過剰な敬語を除いた文章を公開した。

訂正によって批判は収束するかに思えたが、「『適正化』とか…謝罪することに、抵抗あるのですか? そんなプライドいりません」「これもおかしいですよね。なぜ謝罪が出来ないんですか?」など、表現の訂正に際し「適正化」とした表現に疑問の声が寄せられた。

7日午前に行われた林芳正官房長官の定例会見では、修正に至った経緯とSNSの運用体制について尋ねられると「総理について敬語を用いた投稿があり、投稿翌日に表現を適正化したと、そういう風に承知をしております」と「適正化」との表現を用いた。

その上で、「SNSの発信にあたっては、内閣広報室において確認して投稿をしております」。今後については、「本件を受けまして、私からも改めて適切な情報発信を行うよう指示をしたところでございます。今後も総理の動静を含めた政府の重要政策の適正な発信に努めて参りたいと考えております」としている。