2024年9月1日から30日までヴェネツィアで開催された、職人たちの技術を讃(たた)える工芸展「ホモ・ファーベル2024」。同展に、「ヴァシュロン・コンスタンタン」とルーヴル美術館の美術工房が初の共同出展を果たし、過去に制作したタイムピースの修復を通じ、希少な文化遺産と技術の継承を讃えた。
芸術、文化、技術を保存、維持し、次の世代へと継承
1755年、スイス・ジュネーヴに創業した、名門時計ブランド、「ヴァシュロン・コンスタンタン」。今では多くのメゾンがエナメルやエングレービング、ジェムセッティングなどの時計装飾の技術を駆使した“メティエ・ダール”に力を注いでいるが、「ヴァシュロン・コンスタンタン」はどこよりも早く、工房に伝わる伝統的な卓越した技術を用いて、夢あふれる芸術的な作品を披露してきた。その創造力は、例えば美しい宝石や意匠を施した懐中時計に始まり、世界地図や空の気球、異国文化を映した独創的かつ芸術的なタイムピース、そしてマルク・シャガールやエドガー・ドガ、ヨハネス・フェルメールなどの絵画を映した小さな文字盤など、実に多岐にわたるものである。
創業から270年近く、卓越した時計製造と洗練されたスタイルを何世代にもわたり熟練の職人により継承し続けてきた
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ルーヴル美術館との芸術と文化におけるパートナーシップ
そんな「ヴァシュロン・コンスタンタン」は近年、世界の名だたる美術館と積極的にパートナーシップを結びプロジェクトを進めている。2019年にはルーヴル美術館(パリ)、2023年にはメトロポリタン美術館(ニューヨーク)、今年7月には故宮博物館(北京)の教育機関である故宮学院と提携を結んでいるが、殊にルーヴル美術館とのつながりはその以前からとなる。2016年にメゾンが、ルーヴル美術館所蔵の18世紀の傑作『天地創造』の置時計を修復をしたことがその始まりだ。時計界において、古来受け継がれてきた名品の修復は実に重要な技術に位置付けられる。「ヴァシュロン・コンスタンタン」においては18世紀の創業以来制作された全ての時計の修復が可能であり、長い歴史で培われた部品のストックやヘリテージ部門のアーカイヴから歴史的な技術データを検索するなど、徹底して制作された当時の特長を維持するよう務めている。このマニュファクチュールの見事な技により、「ヴァシュロン・コンスタンタン」とルーヴル美術館は互いに芸術作品を保存し、維持し、修復する次世代への継承という取り組みを始めることとなったのである。