連載20周年を迎えた医療マンガ「K2」(真船一雄さん、講談社)の期間限定ポップアップショップの開催が迫るなか、グッズを展開した二葉企画(東京都文京区)が2024年10月8日、「トリアージ」を題材にした商品の発売中止をXで発表した。
トリアージとは、災害時などに負傷の程度でけが人の治療に優先順位をつける行為を意味する。問題の商品は「不謹慎すぎる」などと波紋を広げており、同社は「決して作品や医療現場を軽んじる意図は全くございませんでした」と釈明している。
「トリアージをネタにされるのかなり嫌だな」
K2をめぐっては、アニメ・漫画とのコラボ商品を展開する二葉企画のブランド「Fuuuu」が、19~27日に東京・浅草でポップアップショップを開催する。開催情報の発表に伴って4日、商品ラインナップが公開された。
波紋を広げたのが「ふせんメモパッド(トリアージ風)」だ。デザインは緑、黄、赤、黒と色違いで全4種。それぞれ表紙の上下に2人のキャラが描かれており、中央部には吹き出しで「トリアージなさい!」と名シーンの台詞や、「K2 おしごとトリアージ」などの文字が記されている。リリースでは「仕事の仕分けにも活用できちゃう」ともうたわれた。
本来のトリアージについて、日本赤十字社は公式サイトで、災害時に限られた医療資源を効果的に活用するため「トリアージタグ」で治療の優先順位を示す方法を説明している。傷病者の状態に基づいて「軽症または治療が不要」は緑色、次の程度は黄色、赤色となり、「死亡や、蘇生の可能性が低く治療対象外」は黒色、と4色に区分するという。
切迫した医療現場で登場するような題材がグッズ化されたことで、Xでは「トリアージをネタにされるのかなり嫌だな」「実際にトリアージが行われる事態の患者や医療従事者の苦しみを何だと思っているのか」「不謹慎すぎる」などと批判が上がった。
また、ファン心からも、「あんな読んでてきつい展開(トリアージが必要という場面)をグッズ化して、しかも、ガン闘病中のキャラを黒(救命不可能)に当てはめる?」「全然関係ないキャラ選びにも怒ってるよ」「トリアージにこだわるならキャラを当てるんじゃなくて作品ロゴのみにすればいいのにね…」「このシーンを面白系グッズにしようって考えが出てくる事自体がおかしい」といった声が出ている。
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「ご不快な思いをされた方々がいらっしゃった」
反響を受けて、二葉企画はFuuuu公式Xを通じて8日、「『ふせんメモパッド(トリアージ風)』発売中止のお知らせ」と題したメッセージ画像を投稿した。文書内では、
「本製品は、様々なシーンでの優先順位付けにお役立ていただける付箋として企画しており、決して作品や医療現場を軽んじる意図は全くございませんでした」
と説明。発売中止の経緯については、
「しかしながら、お客様から貴重なご意見をいただき、『トリアージ』を商品デザインに用いることに関して、ご不快な思いをされた方々がいらっしゃったことを深く受け止め、弊社としても慎重に検討を重ねた結果、今回の発売中止の決断に至りました」
と報告した。「今後も皆様からいただいたご意見を真摯に受け止め、ファンの皆様に喜んでいただける商品企画を目指してまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます」とも伝えている。