2024年の初めから、スリランカの観光業は大きな回復を見せている。今年の最初の8ヵ月間で、外貨収入は21億7,000万米ドルに達し、大幅な増加を記録した。今後、同国の観光業がどのように展開していくのか注目される。スリランカの政治・経済・金融に関する情報を中心に取り扱う、スリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より翻訳・編集してお伝えする。

スリランカ観光、8ヵ月間で外貨収入と観光客数が大幅増

スリランカの観光業からの外貨収入は、2024年の最初の8ヵ月間で21億7,000万米ドル(約3,110億2,000万円)に達し、前年同期比で66.1%増加した。また、観光客数も50.7%増加したと、スリランカ政府観光促進局が発表した。

スリランカへの観光客数は、2024年の最初の8ヵ月間で136万人以上に増加した。8月の観光客数は前年同月比20.7%増の16万4,609人となった。

観光業は、2018年にピークを迎えた際にはスリランカ経済の約5%を占めていた。しかし以降は、2019年のイースターの日に起きた自爆テロや、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックに見舞われ、前例のない経済危機に見舞われた。

今後、2024年の1年間で観光客数は230万人に達し、年間収入が50億米ドル(約7,164億5,000万円)に達すると予想されている。8月の観光収入は推定2億8,210万米ドル(約404億2,000万円)で、前年同月の2億1,050万米ドル(約301億7,000万円)から増加した。

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「新ビザ制度」が観光客数と収入に影響

スリランカでは、2024年初めに導入されたVFS Global(ビザおよびパスポート管理のアウトソーシング会社)による新しいビザ制度により、以前は無料で取得できていたビザが、21.61米ドル(約3,000円)の手数料を払わなければならなくなった。そのため、観光客の到着数と観光収入は減少する可能性があると予想されていた。

スリランカのレジャー業界は、これまで、このビザ制度の複雑なウェブサイトが一部の潜在的旅行者を遠ざけていることや、手数料の高さに抗議してきた。

同国の最高裁判所は、適切な入札手続きを経ていないとして、野党が提訴した案件により、新ビザ制度を一時的に停止した。それ以来、一部の観光業界関係者は、外国人観光客のビザ取得が困難になっていると訴えている。

ラニル・ウィクラマシンハ大統領率いる政府は、観光客の増加を図るため、今月から38ヵ国に対してシンガポールと同様の「ワンチョップシステム」(ビザ不要の入国許可制度)を承認した。

現状、観光収入は増加し、観光業従事者の給与や収益の増加により、スリランカの輸入と貿易赤字も徐々に回復している。

※観光収入の数字はスリランカ観光開発庁が実施した調査から推定されています。