日本航空(JAL)傘下の中長距離路線を結ぶ格安航空(LCC)、ZIPAIR(ジップエア)が2024年10月10日、本拠地の成田空港で記者会見し、25年3月4日に米テキサス州のヒューストンに新規就航すると発表した。週4往復する。

就航地点としては10都市目で、日本のLCCが米南部に就航するのは初めて。ZIPAIRは飛行機の運航効率の関係で、米大陸の西海岸に就航してきた。さらに長距離の路線に就航することになり、ZIPAIRにとっては「非常に大きな転換点」(西田真吾社長)だ。

最長だったLA便でも「往路10時間弱、復路11時間半ぐらい」

ヒューストンは全米で4番目に人口が多い都市で、米航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターがあることでも知られる。エネルギー産業が盛んで、進出している日本企業も多い。

LCCは飛行機の稼働率を高めて利益を出すのが、基本的なビジネスモデルだ。そのため、「太平洋を越えるLCC」をうたうZIPAIRでも、これまで就航してきた米大陸の4都市は北からバンク-バー、サンフランシスコ、サンノゼ、ロサンゼルスで、いずれも西海岸だ。

これは、「片道長くても10時間前後、往復して『24時間以内』に成田に戻ってこられる」(西田氏)ため、飛行機の稼働率を高くできるからだ。これまではロサンゼルス線がZIPAIRの最長路線で、「往路10時間弱、復路11時間半ぐらい」。駐機時間を含めても、24時間以内に収まっていた。

だが、ヒューストン線で「いよいよ、この殻を突破して『24時間を超えて』運航する路線に就航することになる」ことになり、所要時間は「往路12時間、復路14時間」。現地の駐機時間を含めると、戻ってくるまでに28時間ほどかかる。

西田氏は「非常に大きな転換点」だが、西海岸で運航十世紀を積んだことで、ヒューストンについても「このオペレーションができる確証を得た」という。

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東南アジア便も飛ばすことで飛行機の稼働率を高める

今後、東海岸やヒューストン以外の南部にも乗り入れていきたい考えだ。東海岸については

「『いつかはニューヨークに』という野望は持っているが、現時点で『ここにします』と、申し上げられるものはない」

と説明。ヒューストン以外の南部については

「もうちょっと(ヒューストンよりも)行った先にフロリダ半島があって、魅力的な空港や都市がたくさんあるので、そういったところも視野に入れていければ」

とした。

課題は飛行機の稼働率だ。ヒューストン線の場合、その前後に片道6時間半程度で飛べるシンガポール線などを設定することで、稼働率を高めたい考えだ。

そのため、米東海岸や南部と連動する形で東南アジア路線についても「新規路線の開拓や増便をやっていきたい」としている。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)