投資で成功するためには「優秀な頭脳」以上に「辛抱強さ」や「冷静さ」が必要だ……。これを示しているのがバフェットの語った金言です。本記事では桑原晃弥氏による『株式投資 100の金言』(さくら舎)から一部抜粋し、バフェットの経験や言葉を元に、投資で勝つために必要な能力についてご紹介します。
辛抱強さや冷静さは、知能指数よりも重要かもしれないと私は思っています
投資で勝つための必須能力をバフェットは4つ挙げています。
財務会計や簿記の知識。企業の活動を知り、財務諸表を読みこなす力
ある程度の情熱
辛抱強さ
冷静さ
中でも大切なのが最後の2つです。理由は、株式市場は時に集団ヒステリーに襲われるからです。その時に集団と一緒になって愚かな行為を犯すか、それとも自分の判断に忠実でいられるか、によって投資の成果は大きく左右されます。
「賢明なる投資家でさえも、群衆に同調しないためにはかなりの自制力が必要なのである」とベンジャミン・グレアムが言うように、冷静さや辛抱強さは熱狂の中では失われやすいのです。
株価が大きく上昇すれば、投資家は満足感を味わうとともに、熱気や貪欲に支配され、「売って利益を手にしたい」「さらなる上昇を期待して買いたい」という衝動に駆られ、長期保有の原則を忘れがちです。反対に、下げ相場では恐怖に駆られます。
投資での成功には、優秀な頭脳以上に動じない心が求められるのです。
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他人が貪欲になっている時は恐る恐る、周りが怖がっている時は貪欲に
「本当の投資家であれば、自分が群衆とはまったく逆の売買をしていることに充足感を覚えるものである」はベンジャミン・グレアムの言葉です。
賢明なる投資家は、群衆と同じではなく、群衆とは反対の行動を取ることで勝ちを収めます。これはバフェットも同じ考え方です。
「他人が貪欲になっている時は恐る恐る、周りが怖がっている時は貪欲に」
1962年、バフェットは11に増えていたパートナーシップを解散して、バフェット・パートナーシップ一社にまとめます。純資産は720万ドルです。
まさにその時、株式相場が急落します。バフェットは、自分の言葉通り、潤沢な資産で割安株を買いまくり、大きな成果を上げます。
しかし、市場が回復して絶頂期になり、「他人が貪欲になった」60年代後半には、パートナーシップを解散、引退宣言を出します。
だが、引退は長くは続かず、70年代に入り、市場が弱気になり始めると、バフェットは安い金利で資金を調達し、ワシントン・ポストなどの割安株に次々と投資します。
「危機に際して現金と勇気が加わると、その先は計り知れない」はバフェットの言葉ですが、バフェットはいつもウォール街よりも自分を信じることで勝ち進んでいます。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト