金融不安時には、劣後債を利回りが高い状態で、かつ割安に購入することができます。通常、値下がりしている資産には手を出さないことが賢明とされていますが、劣後債に関しては、この機を逃さないほうがよい理由があって……。本記事では、世古口俊介氏の著書『富裕層のための米ドル債券投資戦略』(総合法令出版)より一部を抜粋し、劣後債購入のタイミングとコツについて解説します。
金融不安時は劣後債のバーゲンセール
劣後債※に利回りが高く、とても有利な条件で投資できるタイミングがあります。
それは2023年に起こったような金融不安のときです。
2024年4月時点で、米国債利回りに対して格付けBBB+の期限付劣後債の上乗せ利回りは0.8%くらいと説明していましたが、2023年前半はプラス2%からタイミングによってはプラス3%になっているときもありました。永久劣後債やCoCo債※の上乗せ利回りは、さらにプラス4%からプラス5%の債券も多数存在しました。
こういうときはデパートのバーゲンセールと同じで非常に割安になっているので、どの劣後債を購入しても得をすることが多いといえます。
金融不安で劣後債が超割安になる理由
なぜ金融不安のときにこれほど劣後債が割安になるかというと、劣後債の大半は金融機関が発行しているからです。
また、CoCo債に関しては完全に金融機関しか発行していません。金融不安によって金融機関が倒産するかもしれないとなれば、劣後債の価格は暴落し、逆に利回りは急上昇するのです。
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劣後債に関しては、落ちてくるナイフをつかみにいく
「落ちてくるナイフをつかむな」という値下がりしている資産に投資することの危険性を示唆する相場の格言がありますが、こと劣後債に関してはナイフをつかみにいったほうがよいというのが私の経験則です。
もちろん財務状態がいい会社の劣後債に、しっかり発行体リスクを分散して投資することが前提ということを忘れてはいけません。
世古口 俊介
株式会社ウェルス・パートナー
代表取締役
2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱東京UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)を経て2009年8月、クレディ・スイスのプライベート・バンキング本部の立ち上げに参画し同社の成長に貢献し、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。
資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。株式や債券、不動産などすべての資産クラスを扱い資産全体を最適化。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者1.4万人超のYouTubeチャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信している。