未来のことは誰にも分かりません。老後を迎えたあとに、もし離婚したら? 配偶者が亡くなってしまったら? 年金だけでは暮らせない状況になったら…? 本記事では、ファイナンシャルプランナー三原由紀氏による著書『定年後に後悔しないお金の大正解100』(永岡書店)から一部を抜粋・再編集し、「もしものこと」が起こったときに役立つ年金の制度内容をQ&A形式で解説します。
Q. 離婚したら年金ってどうなるの?
A. 夫婦の間で分割されます
夫婦が離婚をすると(国民年金は氏名や住所を変更した場合)、氏名や住所の変更手続きや届け出などが必要になることがあります。詳細については居住する自治体の役所で確認できます。
また、厚生年金については、年金を受け取る権利を夫婦で分ける「年金分割」の手続きを行うことができます。夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれを自分の年金にするというしくみです。
年金分割には①合意分割、②3号分割の2種類があります。①は夫婦2人の合意によって、②はサラリーマンの妻で専業主婦などの国民年金第3号被保険者、いわゆる分割してもらう側からの手続きが可能です。
離婚による年金分割はあまり得しない
分割の対象となるのは婚姻期間の厚生年金であり、さらに3号分割は制度が始まった2008年4月以降のもののみであるという点には注意が必要です。また、退職後の企業年金は分割されません。
離婚をしても生活は続きますから、妥協できる余地があるのなら、離婚後の年金額を確認してから冷静に判断することをおすすめします。
熟年離婚を考えている人は、配偶者が亡くなった場合の遺族年金について、念のため確認しておくとよいでしょう。
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Q. 配偶者が亡くなった場合、年金はどうなるの?
A. 配偶者に生計が維持されていたら遺族年金がもらえます
配偶者が亡くなったときには、「遺族年金」を受け取れる場合があります。
遺族年金は、国民年金か厚生年金に加入していた、または受け取る資格のある人が亡くなったときに、亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者や子どもなどの遺族が受け取れる年金です。
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。亡くなった人の年金の納付状況や遺族年金を受け取る人の年齢・優先順位などの条件に応じて、いずれかまたは両方の年金を受給することが可能です。
手続きをスムーズに進めるためのポイント
遺族年金の手続きや受給権者死亡届の提出は期限内に行う必要があります。スムーズに手続きを終えられるよう、亡くなった人が加入していた年金の種類や年金番号などを前もって確認しておくとよいでしょう。
また、父親が亡くなった場合に、残された母親の代理として遺族年金の手続きを行うケースもあるかもしれません。その際は本人の委任状が必要となるため、忘れずに用意しましょう。