翌年、お店はなぜか閑古鳥に!?

私はというと、若い娘さんたちの晴れ姿を愛でながら接客することに楽しみを覚えていて、営業成績やランキングには正直興味がありませんでした。写真セレクトのチーフは、私にKさんの接客をマネしてほしいようでしたが、私は性格的にKさんの強引に見える接客がどうしても好きになれませんでした。

とはいえ、親世代と同じ年齢だからこそ話せることもあり、Kさんとは違う接客でそこそこの好成績が続いたので、やがてチーフも認めてくれるようになりました。こうしてあっという間に1年がたち、私は後ろ髪を引かれながら退職の日を迎えました。

 その後半年くらいして、Kさんから食事の誘いがありました。久しぶりに会ったKさんは、開口一番「今お店が大変なんだよ」と言いだしました。聞くと、昨年とは打って変わって振袖の予約が少なく、スタジオもガラガラだと言うのです。

 私は昨年の絶好調だったKさんを思い出しながら、つい口が滑りました。「えっ? 招き猫体質のKさんがいるのに、どうして?」と。Kさんは一瞬黙り込んで「う~ん、どうしてだろう?」と下を向いてしまいました。思った通り、お店が繁盛したのも、Kさんが良い営業成績を上げたのも、実はKさんの自称「招き猫体質」とは関係なかったようです。

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まとめ

この話を娘にすると、娘は「招き猫はやっぱりお母さんだったんじゃないの?」と言います。しかし、実は私と同時期に退職した人が、もう1人いるのです。それは店長。物腰やわらかく控えめで、いつもニコニコしていた福顔の店長こそが、本当の招き猫だったに違いないと私は思っています。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者:あらた繭子/50代女性。大学生の息子(1999年生まれ)と高校生の娘(2005年生まれ)を持つフリーライター。長年にわたる無茶な仕事ぶりがたたり、満身創痍の身体にムチを打つ毎日。目下の癒やしは休日のガーデニングと深夜のKPOP動画視聴。
イラスト/もふたむ

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年9月)

著者/ウーマンカレンダー編集室
40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!