性別や年齢、人種などが違う人々を尊重しようという多様性(ダイバーシティー)の概念は日本でも浸透してきています。そうした中、X(Twitter)では多様性への理解を深めようとする投稿や、逆に「価値観の変化についていけない」という本音を吐露する投稿がしばしば注目されています。
ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド【J-CAST出張版】」、今回は「多様性を中心とした新しい価値観への向き合い方」について掘り下げます。
「男女の人数を揃えることが多様性ではない」プリキュアに男子が登場する日も
経済活動や政治への参画など、さまざまな角度における男女格差を示すジェンダーギャップ指数という指標があります。
しかし、2024年の日本は156カ国中118位、G7諸国の中では最下位でした。こうした実情を受け「管理職に女性が少ない」などといった問題がたびたび議論になります。Xではラノベ作家の葛西伸哉さんによる「男女の人数を揃えることだけが多様性ではない」という投稿が共感を集めたことがあります。
葛西さんは、登場人物に男性が多い「スーパー戦隊ヒーロー」ものや、女性のメインキャラクターが多いアニメ『プリキュア』シリーズを例に挙げ「男がメインの戦隊ものも、女がメインのプリキュアも両方あるのが多様性」であり、「『主人公やリーダーも均等に』することが多様性ではない」と持論を展開しました。
葛西伸哉氏「男がメインの戦隊も、女がメインのプリキュアも両方あるのが多様性。どっちも男女同数、ではなく」に反響。「全部紫より、赤も青もあるほうがいい」 – Togetter [トゥギャッター]
さらに葛西さんは「戦隊モノが好きな女子、プリキュアが好きな男子がいてもいい」と続けて述べています。
この投稿に対して、納得する声が集まり「歌舞伎も宝塚も尊重するのが多様性」「何をかっこいいとするか、何をかわいいとするかだって、いろんな形があっていいんだよね」といった感想が集まりました。
また、その中には「いつか、女性がリーダーの戦隊や仮面ライダーが出てきたり、男性がいるプリキュアが登場するかもしれないが、それは作品世界の多様性を追求した結果論として現れると思います」という発言も。
実際、葛西さんの発言から3年後の2023年に放送された『ひろがるスカイ!プリキュア』では、シリーズ上で初めて男性キャラが登場しました。制作者が多様性を追求した結果が現れたと言えそうです。
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「多様性社会が生きづらい」53歳の悩みに寄り添う同年代の声
新しい概念への理解に追いつけていないという告白もXでは見受けられます。
たとえば、53歳になる父から「多様性社会が生きづらい」と打ち明けられたという子どもの立場からの投稿が注目を集めたことがありました。
53歳の父「多様性社会が生きづらい。老害になりたくないので発言権を失った」→様々な反応集まる「自分の考えをアップデートしていくことが大変」 – Togetter [トゥギャッター]
現在53歳ということは、この世代の人々は平成の前半ごろに社会人となり、パワハラという言葉もない時代でした。この父親は「理不尽・罵声が当然の昭和・平成初期を過ごしてしまったから、今の時代で許されないことを本当の意味で理解できていない」状態であり、「老害になりたくないので沈黙を選択していて、結果的に社会での自由な発言権を失っている」と話したといいます。
投稿者の父親と同世代というXユーザーからは「お父様がおっしゃることはよくわかる」と共感する声が。また、「ちゃんと自己分析が出来ていて偉い」「現状を認識できているのはとてもよいこと」「理知的で冷静なお父さんですね」と、我が子に胸の内を打ち明けたことをねぎらうコメントが集まりました。
さらに、やはり同世代だという人からは「罵声を浴びせられ理不尽なことを押し付けられなくなった今の時代にほっとした」と価値観の変化を歓迎しているという声や、「何歳になっても価値観はアップデートできるし、ご自身を『老害』認定するにはまだまだ若すぎる。今のうちに価値観の切り替えがうまくいくといいな」とはげます声もありました。