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●大阪の名物料理「かすうどん」。この料理の発祥店である『加寿屋 藤井寺本店(かすうどん KASUYA)』で実食してきた!

 近年、大阪の名物料理として知名度を一気に伸ばし、居酒屋のシメとしても見かける機会の多くなった「かすうどん」。

“かす”とは“油かす(牛かす)”のこと。もともとは大阪・南河内地方の郷土料理だったもので、牛の小腸を油でじっくり油で揚げ、臭みの元となる水分と余分な油分を抜いて、肉の旨味だけを凝縮したもの。外はカリカリ、中はプルンとした食感が魅力です。

 この油かす、単独で登場することはあまりなく、主に焼きそばやうどんにトッピングされるのが主流。そしてこの油かすをうどんにのせた「かすうどん」発祥の店が、南大阪の藤井寺にある『加寿屋 藤井寺本店(かすうどん KASUYA)』なのです。今回は、実際に食べに行ってきたので、その旨さの秘密をご紹介していきましょう。

歴史ある古墳の町で生まれたかすうどん


駅前すぐの場所にある鍋塚古墳

 大阪の大繁華街である天王寺から近鉄に揺られること数十分。藤井寺に到着できますが、スマホの地図を見る限り、お店は一つ向こうの「土師ノ里(はじのさと)駅」の方が近そう。ということで、難読地名でもある土師ノ里駅で下車。

 実はこの辺りは、世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」に含まれるエリアで、駅前にいきなり古墳があり、駅名の土師(はじ)というのも4〜6世紀前期までの大和時代に古墳造営や埴輪(はにわ)を発明して造っていた一族名とのこと。京都や奈良より古いという、とんでもなく歴史のあるエリアなのです。


「こういうお店こそ美味しいんだよ」の典型のような外観

 駅前の古墳も気になりますが、地図を頼りに『かすうどん KASUYA』を目指します。しばらく歩くと、トラックがバンバン通り、巨大な歩道橋を渡った先にお店がありました。関西のトラック野郎御用達、ある種ガチの本質主義のユーザー層の中で鍛えられた感満載。もう美味しいのがほぼ確定です。

 お店に入ってみても店内はカウンター主体で余計な飾り気は皆無。まさに質実剛健な雰囲気です。メニューを確認してかすうどんを発見したので、早速注文しようと思ったのですが、関西人としては、うどんには炭水化物をプラスしたい。というわけで、かすうどん+ミニ牛すじ丼のセットがあったので、これを注文しました。

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発祥のお店で食べるかすうどんは油かすのレベルが段違い


かすうどん+ミニ牛すじ丼 1380円

 注文後しばらくすると、かすうどんのセットが到着。関西人からすると「あー、もう絶対美味しい! いつ食べてもウマいけどこれは特別に美味しいヤツ!」と確信してしまう茶色と白のビジュアル。


油かすと言ってもそんじょそこらの油かすとはクオリティが段違い

 それではいただきます。一口食べた油かすから、まず感じるのは独特の香ばしさ。油でカリッカリに揚げたことによる、ものすごい香ばしさがあります。

 これまでかすうどんはかなりの回数食べてきましたが、ここまでの香ばしさを感じたのは初めてかも知れません。これを知ってしまったら、今後、他店のかすうどんでは物足りなく感じてしまうことになるかも……。


うどんは大阪風でダシが絡むやさしい食感

 食感に関してはカチッとした歯ごたえ。ラーメンのチャーシューなどに比べると肉々しさやボリューム感はないものの、お肉が持っている旨味は強烈のひと言。ひと噛みごとに旨味が押し出される。まさに唯一無二といった感じの食材です。

 それが濃いダシのつゆと合わさると、もう言葉はいりません。ただただ、よくぞうどんに入れてくれた、という感謝の思いだけが胸に広がります。

まとめ


駅前すぐに世界遺産があるという古墳の街の風景

 帰りに駅前の古墳に立ち寄ってみました。古墳の上まで登ると、駅周辺が一望できる景色が広がっていました。

 かすうどんの歴史を訪ねてみたら、思いがけず、さらに長い長い古墳の歴史にも触れることができました。なんとも満足な半日旅。かすうどんのルーツを探る際のお立ち寄りスポットに土師ノ里の駅前古墳、オススメです。

●SHOP INFO

店名:加寿屋 藤井寺本店(かすうどん KASUYA)

住:大阪府藤井寺市沢田1-28-5
TEL:0729-54-6490
営:11:00~翌3:00
休:火
https://www.aburakasu.com/

●著者プロフィール

けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。