北海道室蘭市内の神社にある鳥居で懸垂したり、鳥居前の階段で逆立ちしたり……。チリ人姉妹の観光客が、インスタグラムにこんな動画を投稿し、批判が殺到して謝罪する事態になった。

2人は、日本に来て、一体なぜこんな迷惑行為をしたのだろうか。神社は、「ケガがなくてよかったが、本当に失礼だと思います」と怒っている。

「リスペクト無さ過ぎだろ」「祟られるぞ…」

肩が露出した薄緑のワンピースを着た若い外国人女性が、鳥居の横の柱に両手でぶら下がって、いきなり懸垂を始める。

ダンス音楽に乗りながら、柱の上に首を出して、ニッコリする。鳥居の先では、他の観光客らの姿も見えた。

女性は、音楽に合わせて、顔を左右にずらし、さらに両足を交互に上げて、ノリノリだ。足を上げ下げしながら地面に降りると、両手を上げるポーズを披露した。

この動画は、チリ人姉妹が2024年10月10日ごろにインスタで投稿した。そのプロフィールによると、姉妹は、元体操選手でインフルエンサーを名乗っている。あちこちでエクササイズする動画を多数アップしており、16日夕現在で、14万人のフォロワーがいる。

実は、この姉妹は、9月30日に米国シアトルを出港した大型の米クルーズ船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」に乗船していた。外国人客約4000人が乗っていたといい、10日は、室蘭に寄港して観光地を周遊した。

姉妹はこの日、地元の中嶋神社を訪れ、その稲荷宮の鳥居で今回の動画を撮ったとみられている。懸垂だけに留まらず、鳥居の前で逆立ちをしたほか、別の鳥居から下る階段で、姉妹の1人が逆立ちしながら降りる動画も投稿した。さらに、階段の手すりで逆立ちして、鳥居をバックに開脚ポーズも披露していた。

これらの動画は、日本の文化を軽視しているとして、14日ごろにX上で取り上げられ、罰当たりだなどと批判が殺到して、インスタが一時非公開になった。

「日本の宗教文化や風土にリスペクト無さ過ぎだろ」「祟られるぞ…」「二度と日本に来ないで欲しい」といった声が、日本語ばかりでなく、英語やチリの公用語スペイン語などでもネット上で相次いだ。さらに、チリのいくつかのメディアも、この騒ぎを知ってニュースに取り上げるまでの事態に発展している。

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神社は迷惑行為に憤り「本当に失礼ですよね」

こうした事態を受けて、チリ人姉妹は、客船が東京に寄港した10月15日、インスタを再び公開して、迷惑行為を撮った動画を削除したうえで、謝罪動画を投稿した。

姉妹のうち1人が両手を合わせながら母国語で説明し、最後に日本語で「ありがとう」と付け加えた。インスタの投稿では、日本語で「日本での私の行動を謝罪したいです 失礼なつもりはありませんでした。何も考えずにやってしまったことなので、本当に申し訳ないと思っています」などと書いた。

姉妹が迷惑行為をしていた中嶋神社の社務所では16日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように話した。

「ノリでやっていたのではないかと思いますが、あんなことをされるのは、本当に失礼ですよね。動画を見た人から、『警察に訴えて下さい』と電話も来ました。ただ、他の客も含めて、ケガがなくてよかったと思っています」

神社には、姉妹も訪れた10日、客船に乗っていた外国人の親子連れなどが大勢訪れたという。

室蘭には、「洋上の動く豪華ホテル」と呼ばれる世界最大級のクルーズ船「MSCベリッシマ」も4日に寄港しており、インバウンドの観光客が増えているようだ。

神社では、「外国人の方たちは、特にマナーが悪いことはなかったので、動画を見て、本当にびっくりしました。こんなことで、神社が有名になってほしくありませんね」と困惑していた。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)