相続税の申告・納付が必要となる条件は

国税庁が公表した令和4年分のデータによると、1年間に亡くなった人は約156万人、そのうち相続税の課税対象となった人は、約15万人です。割合にして課税対象者は9.6%で、都道府県別では東京都がトップで18.7%です。東京都の割合が高いのは、相続する財産のうち不動産の価格が高いことも影響しているようです。

相続税は故人の財産が次のとの合計額を超えた場合に申告・納付が必要となります。

基礎控除額(その1)3000万円
基礎控除額(その2)法定相続人の数×600万円

具体例で見てみましょう。

例)家族構成:父、母、子供2人の四人家族で父が死亡した場合
基礎控除(その1) 3000万円
基礎控除(その2) 3人(母・子供2人)×600万円=1800万円
との合計 3000万+1800万=4800万円

この家庭の場合は父親の相続が発生し、財産が4800万円以内であれば相続税の申告は必要なく、相続税の納税も発生しません。

その他押さえておきたいポイントとしては下記があります。

・上記の財産の算定は、預貯金、不動産などの総財産から、借入金や未払金、葬儀費用などのマイナスの財産を差し引いた財産(純財産)で判定します。
・配偶者の税額の軽減や各種特例を適用して相続税を抑制する場合には、納める相続税が0円であっても、相続税の申告は必要となりますのでご注意ください。

(参考HP:国税庁)相続税の計算

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相続税がかかるかどうかは、まず財産を把握してから 


疑問
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相続が発生するとさまざまな手続きが必要ですが、そのひとつに財産の把握作業があります。ご相談のケースをみてみましょう。

【相談内容】
父が2カ月前に亡くなりました。父は自宅と投資用の分譲マンションを所有しており、上場株の取引もしていたようでした。財産の調査にあたって何をどうしたらよいでしょうか。

【回答】
お父様の生前の状況からすると、次のような財産があることが推測されます。下記を確認してみるとよいでしょう。

預貯金:通帳を確認して各銀行に残高証明書を請求依頼(普通預金以外にも定期積金などを有する場合もあり)
不動産:各市町村役場の固定資産税課で固定資産評価証明書を入手する(毎年5月くらいに固定資産税の課税明細書が送られてきているので、その内容でも不動産の状況が分かります)
株式:証券会社に問い合わせて残高証明書を発行してもらう

もう少し深堀りすると、金融機関へ残高証明の発行依頼や通帳の解約に出向く場合は、手続きに必要な書類等を電話で確認しておくとスムーズです。

また投資用不動産を取得するための借入や、自宅のリフォームなどのローン残高が残っている場合は、マイナスの財産として他のプラスの財産と差引されますので、こちらの借入残高もチェックしておきましょう。