結婚前3Dデザイナーだった夫が過労からパニック障害になりました。当時大阪で勤務していた夫は、ある日東京に出張へ行きました。そこで疲れから意識がなくなりそうになり、救急車を呼ぶ事態に。その日から夫のパニック障害と闘う日々が始まりました。夫がパニック障害を発症した状況から、パニック障害を克服したまさかの理由まで、私の体験をお話しします。

突然呼吸ができなくなった夫





まだ私たちが結婚する前、夫が35歳のころです。当時夫は、某有名テーマパークのキャラクター衣装デザインなどを担当しており、大阪で毎日忙しい日々を過ごしていました。

そんな中、東京へ出張に行くことになり、せっかくだからと有名な写真家の写真展をのぞくことにしたそうでした。写真展は思っていた以上に広い会場でおこなわれており、夫は日ごろの疲れもたまっていたため、体力的に無理をしてしまいました。

そして、大阪へ帰る新幹線に乗るために東京駅へ向かう電車の中で、呼吸が苦しくなり意識を失いそうに! さすがにマズイと感じた夫は、なんとか気持ちを落ち着かせながら途中の駅で降り、駅員室で休ませてもらうことにしたそうです。

しかしその後も夫の状態は改善せず、駅員は救急車を要請しました。駆けつけた救急隊員は、夫の状況を見て過呼吸という単語を口にしたそう。夫はそれを聞いて、なぜか「それなら全然問題ない!」と思ったようで、急に気がラクになって症状が治まりまったのだそう。そしてそのまま、新幹線で大阪まで帰ってきたのです。

出張から戻った夫は、休むことなく次の日も通常通り勤務をしていました。しかし、その日の昼休憩にごはんを買いに外に出たら、急に強いめまいが起こったのだそう。結局うまく歩くことができず、昼食も買えないまま、少し休んで仕事に戻ったそうです。

昼休憩が終わり、仕事を始めると夫は急に呼吸が苦しくなってきたのだそう。過呼吸の状態になり、だんだんと手先が硬くなって動かなくなったと言います。そのうち体全体も動かせなくなり、ついには顔まで固まってしまいました。様子のおかしい夫を見て、同僚たちが慌てて救急車を呼び、夫は病院へ搬送されることに。

夫の体はカチカチに硬直しており、病院に着いて看護師や医師が服を脱がそうとしても、脱がせられなかったそうです。結局そのまま点滴をしてもらい、しばらくすると体がラクになり引きつっていた顔も緩みました。その日は病院で就寝し、翌日そのまま自宅へ帰宅したそうです。

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電車にも乗れなくなってしまい…

夫は次の日もその次の日も、職場に行くとめまいで立てない、会社の外に出られないという状況が続きました。それでも毎日通勤しているうちに少しずつ慣れてきたのか、家と駅、職場の行き来はできるようになっていました。

夫はもともと特急電車で通勤していましたが、もし電車内で発作が起きた場合、特急電車だと停車駅が少なく「逃げ場がない」と思ったことから、各駅停車の電車通勤に変更。そうすると、日によって波があるものの、だんだんと1駅ずつ電車を降りないと会社にたどり着けなくなっていったそうです。それでも夫は、頑張って会社へ通っていました。

ある日、夫はまた東京出張へ。そこで東京の仕事仲間とレストランに行くことになりましたが、夫はレストランに向かう道中で「今、発作が起きたらまずい……」と考えたそうです。すると余計にしんどくなってきてしまい、なんと路上で倒れてしまいました! 倒れたところの前にあった花屋の店員さんが、救急車を呼んでくれたそうです。

この件をきっかけに、夫は退職を決意。後日改めて病院を受診したところ、不規則な生活とストレスから来るパニック障害との診断書が出ました。パニックの発作は、突然起こる恐怖や不快感、息が詰まる感じ、めまいなどを指します。「また発作が起こるかも」という予期不安から、発作が起こりそうな場所や逃げ場のない状況を避けるということも、パニック障害ではよくあるそうです。

退職後の夫は、しばらく何もしない状態になっていましたが、働いていなくてもパニック障害は続き、結果的に電車などの公共交通機関に乗れなくなってしまいました。ですが、その後の転職で仕事が変わってから、症状は回復傾向にありました。