時代の先を行くブランドは面白い【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記】

2025年春夏パリコレクションが9月22日から10月1日まで開催されました。ファッションショーやプレゼンテーション、イベントなど盛りだくさん。ファッションのことだけでなく、街で見かけた気になること、パリらしいものなどをお伝えします。ばたばたしていてだいぶ遅れてしまいましたが、今回はDAY 5。

夏のギリシャに行きたくなった「レオナール」

2025年春夏シーズンのテーマは「HELIOS」。ギリシャ神話の「太陽の神」です。1960~70年代のグラマラスな女性たちへのオマージュとしてデザインされたコレクションは、刺すほどの日差しの中に映えるような鮮やかなプリントと、美しいドレープが施されたドレスが中心。地中海の風をはらんで揺れるドレスを着て歩けば、道行く人が振り向きそうな雰囲気で、どんどん気温が下がっていったパリで見ていると、夏のギリシャに行きたくなりました。

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軽やかで、時代の先を行く「ロエベ」

会場はパリの東にあるヴァンセンヌ城です。歴史ある場所で、ロエベのクリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソンが披露するのは、いつも時代の先を行くコレクション。入り口の壁は楽譜のプリントで覆われています。今回は何がでてくるのか、またまた期待です。

ファーストルックから驚かされました。プリントのドレスの数々。骨組みによって、シルエットが形作られています。すぐに思い浮かべたのが、19世紀のクリノリンスタイル。鯨のひげなどを使ってスカートを膨らませたスタイルです。でも、異なるのは、すべてが軽やかだということ。モデルの歩きに合わせて揺れる軽やかなスタイルは、19世紀の女性たちが見たらうらやましいと思うかも。ほかにもワイヤーを使っているのか、すそがめくれ上がっているコートなど。また、羽根で覆われたシャツにプリントされたモーツァルトやショパンの肖像画のほか、ゴッホの「ひまわり」やマネの「笛を吹く少年」など、名作曲家や名画をこうした形で使っているのも面白い。ちなみにラストは、モデルの胸元にバッハが登場していました。