知人が55歳のころの話です。知人には子どもが3人おり、そのうちの2人が1カ月違いで結婚式を挙げました。「やっと子どもたちの結婚式が終わった」とホッとするのもつかの間、次はおいっ子の結婚式が3カ月後に迫っていました。そしておいっ子の結婚式当日、バスで5時間かかり式場に到着し、持参した着物に着替えているときに知人に病魔が襲いかかります。

楽しみにしていたおいっ子の結婚式

知人が55歳のころ、子どもたち2人の結婚式が無事に終わり、ホッとしたのもつかの間、すぐにおいっ子の結婚式に参列することに。おいっ子は知人の兄の子どもで、「おばちゃんおばちゃん」と知人に懐いていたこともあり、幼いころからかわいがっていました。知人はおいっ子の結婚式を心から楽しみにしており、結婚式当日が待ち遠しかったそうです。

知人は当時、月曜日から土曜日の週6日、朝から晩まで働いていました。他にもさまざまな行事の役員を務めるなど、忙しい日々を送っていたそう。おいっ子の結婚式前日も、夜まで仕事をしていたそうです。

結婚式当日の朝、準備を済ませた知人家族は結婚式場行きのバスに乗り込みます。結婚式場はバスで5時間かかる場所にありました。バスの出発時間が朝早いことや移動時間が長いこともあり、知人は着物を持参し、式場で着替えることにしていました。昼前に式場に到着し、親戚などにあいさつを済ませて、知人の母や親戚と一緒に更衣室へ向かいました。

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更衣室で着替えていたら、突然…

知人のおいっ子の結婚式当日は真冬の寒い日だったそう。なかなか更衣室が見つからず、しばらく冷たい廊下を行ったり来たりしていた知人たち。やっと更衣室を見つけることができました。

更衣室には暖房が入っているものの、着替えるには少し寒く「ちょっと寒いね~」と言いながら、みんなで着替え始めます。知人も服を脱ぎ、長襦袢(ながじゅばん)を着ようとしたときに、急に気分が悪くなり立っていられなくなりました。周りの方に介抱してもらい、なんとか椅子に座ります。たまたま更衣室には人がたくさんおり、みんなが心配して気を配ってくれたそう。

しかし次の瞬間、急に左半身に力が入らず、左側にバタンと倒れ込むように椅子から落ちてしまったのです。口にも力が入らずろれつが回らない状態で、症状を伝えたくても伝えられずパニックに。周りの方もその光景を見て驚き、急いでフロントに救急車を呼ぶようにと連絡してくれたそうです。左半身が完全に動かなくなった知人は、おいっ子の結婚式どころではありません。

知人が倒れたことで更衣室はパニックに。結婚式の参列者にも、知人が倒れた話が広まっていきます。もちろん新郎新婦にも話は伝わっていました。偶然にも知人のおいっ子のお嫁さんは看護師で、参列者の中にはたくさんの看護師がいました。その看護師たちが知人の元に駆けつけて、知人を見て「脳に問題がありそう」と判断し、適切な処置をしてくれたそう。その後すぐに救急車が来て、知人は病院に運ばれていきました。