ゲームセンターに使い捨て歯ブラシが置いてある――。「そこの君!!臭います 日吉には誘惑が多いです。ラーメン、にんにくマシマシ 歯ブラシあります。お使いください」という文言のポスターの下に歯ブラシが置いてある写真が2024年10月上旬、Xで拡散されると「配慮すごい」などと話題となった。
使い捨て歯ブラシを設置した、ゲームセンター「イミグランデ」日吉店(横浜市港北区)の担当者は設置理由について「最大のきっかけは今年の夏の猛暑と、SNSでの話題です。最初は消臭スプレーを設置し、次に汗拭きシートなども追加で設置しました。その後、『他に何かできないかな』と思い、におい対策の延長で歯ブラシを設置しましたと明かした。
1日5~10本ほど減る
反響を呼んでいるのは一般ユーザーの「あ」さん(@VQWXB)が6日に投稿した写真だ。「そこの君!!臭います 日吉には誘惑が多いです。ラーメン、にんにくマシマシ 歯ブラシあります。お使いください」という文言のポスターの近くに使い捨て歯ブラシが何本か設置してある。J-CASTニュースの取材に応じた投稿者によると、画像は同日に撮影したもの。歯ブラシが設置されていることについて「ツボって死ぬかと思った」としつつ、「ゲームセンターにおける悪臭問題について、私自身も嫌な思いをしたことがあるので、ゲームセンター側が具体的な対策に講じてくださる事に感謝しています」という。この投稿については「ラーメン食べるの止めさせないあたりに優しさを感じる」「たしかに日吉はラーメンめっちゃ多いもんね ゲーセンの配慮すごい」「最高」などと称賛の声が寄せられている。
歯ブラシを設置した同ゲームセンター担当者によると、設置しているのは同ゲームセンター系列店では日吉店(三号館)のみ。歯ブラシは1日5~10本ほど減っているという。
きっかけは、元々半年ほど前に女子トイレに設置したのが始まりだという。「音楽ゲーム界隈」の女性プレイヤーは少ないが、その中でも少数の女性客が日吉店に来店する中で「ゲームセンターの印象を少しでも良く思ってもらいたい」という思い、また担当者自身の「プレイヤーとして、少しでも気持ちよく使っていただきたい」という気持ちでアメニティを数多くそろえた。歯ブラシ、ヘアケアスプレー、使い捨てブラシ、汗拭きシート、マスク、綿棒、ナプキン、うがい薬などを設置したという。一方、基本的に男子トイレには何も置かなかったという。「利用客が多く通路の妨げになるのでは」と思ったため、また「いたずらや嫌がらせなども多かった」ためだ。
男子トイレにも歯ブラシを置くようになった理由については、こう説明した。
「最大のきっかけは今年の夏の猛暑と、SNSでの話題です。最初は消臭スプレーを設置し、次に汗拭きシートなども追加で設置しました。その後、『他に何かできないかな』と思い、におい対策の延長で歯ブラシを設置しました。ゲームセンター問わずどこの施設も乗り物も、においによるSNSのポストは多く見られました。におい対策などは企業がやるべきことではなく、個々の問題や対策なのですが、自覚していない人が多い、自分自身で気づけていない上、SNSでは言えるのに、現実はなかなか直接注意しづらい問題でもあります。私だからできること……日吉店だからできること……保護者のような息子を見ているような目線など……そういう気持ちで置いたのもあります。また、(投稿へのコメントで)『歯ブラシではなくブレスケアだろ』など書かれていたのを見ましたが、さすがに自分の口に入れて食べるものは衛生面もありますのでご自身で用意して下さいという考えです。なので便利なものをあれやこれや追求していくのもいいですが、お店のハードルが上がりすぎるのもよくないので、出来ることはここまでかな、と思いました」
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「在庫がある限りもう少し続けてみようと思いました」
担当者は、近くに大学があることから日吉の商店街は学生向けの飲食店、特にラーメン屋が多い印象があるという。客層は比較的学生が多く、ラーメンを食べてから来る客や、食べてまた戻ってくる客などが多く来店するという。
歯ブラシを設置したことで、どんな反応があったのか。
「まだ来店されたことない方などはSNSで『すごい!』『おもしろい』など驚かれている様子です。来店して写真を実際にSNSに載せてる方たちにはネタとして扱われたり笑われたり、称賛の言葉を頂いたりなどさまざまです。実際に直接来店し使用された方に『便利』『助かった』『ありがとう』などお礼の言葉をいただきました」
一方、担当者に対して誹謗中傷が届くこともあるという。歯ブラシの件に関しては「こんなことして人呼んで恥ずかしくないのか」「こういうの作って目立ちたいだけだろう」などという意見も届くと明かした。
「店員兼プレイヤーでもあり、20年近くこの業界に携わっていますが、プレイヤーの立場で見ると『設置していることがすごいこと』であり、ありがたいことであると思っています。店員の立場としては『自分がお客様だったら何を喜ぶかな』と常日頃考えています。近年SNSなどの発達によりちょっとした張り紙でネタにされたり笑いものにされたりとそういうことが多いので、半分広告も含めたインパクトのある掲示物を作成しております。その方が目につきやすいからです。設置している音楽ゲームマシンなどはどこの店舗も代り映えがなく、設置されているもので遊ぶことには変わりません。こういうちょっとしたおもてなしをすることが、小さい企業の独自の努力だと思っています。実際感謝の言葉を直接頂くことがありとても嬉しく思います」
担当者は最後に、「面白おかしく反響を呼んでいるみたいで正直びっくりしています」としつつ、「在庫が無くなったらやめようかなと考えていましたが、反響が多いみたいなので在庫がある限りもう少し続けてみようと思いました」と今後の方針を明かした。