都市と地方で土地の価格差を比較
先ほどシミュレーションを行いましたが、住む場所が都市か地方かということでもシミュレーション結果が変化します。首都圏は人口増加が進み、ほとんどの地方は急激に人口が減少。これに伴い、都市と地方で土地価格や賃貸物件の家賃の差がさらに広がるでしょう。
国土交通省の2021年地価公示によると、東京23区の住宅地平均価格が1平方メートル当たり63万1,400円です。これに対し、地方では鹿児島県鹿屋市が1万2,300円、北海道北見市が1万4,700円で、中には熊本県人吉市相良町の14.6%、福島県いわき市平下平窪の10.5%のように、1年間で10%以上下落した地域もあります。
東京23区と鹿屋市を比較すると、約50倍。賃貸の家賃ではここまで大きな差は出ません。
なお賃貸情報サイトを見ると、都内で最も高い港区と鹿屋市の差が約10倍、最も安い葛飾区なら2倍にとどまります。地方なら購入した家の生涯支出が抑えられ、都市なら負担が大きくなることが分かります。
空き家の増加も問題に
地方では空き家の増加が深刻さを増しています。総務省の2018年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は13.6%で、過去最高を更新しました。その多くが地方にあり、空き家だらけの住宅地や商店街が各地で見られるようになってきました。
反対に、東京23区などの大都市ではタワーマンションの建設ラッシュが続いています。特に駅前などの再開発で商業施設やオフィスに加え、タワーマンションを整備する例が増えてきました。工業市場研究所の調査によると、2021年は首都圏で毎月、2,000~3,000戸が新たに供給されています。
このように日本全体で人口が減っているのに家は増えているため、将来は家が余ってしまう時代になるかもしれません。
ライフスタイルもシミュレーションに大きく影響
それぞれのライフスタイルも、シミュレーション結果に影響を与えます。例えば持ち家を購入したあとで転勤を命じられた場合、単身赴任を余儀なくされて出費が増えることが考えられます。賃貸向き、購入向きのライフスタイルがあるのです。
一般に、収入の変動が大きい人や多額の借金を背負いたくない人は賃貸向きといえるでしょう。反対に、転勤があまりない家庭や収入が安定している人は購入が向いているのではないでしょうか。
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賃貸か購入か、コストだけでない選択を
賃貸住宅と購入する持ち家には、それぞれにメリット・デメリットがあります。どちらが得かはコスト面だけでなく、自分のライフスタイル、老後の暮らしも考慮して決めるのがおすすめ。
家族で話し合いながらベストな選択をしていきましょう!