「この症状は更年期が原因だった⁉」医療ライターが体験したうつ状態からホルモン補充療法開始まで

閉経前後に訪れる「更年期」。気づかぬうちに始まった更年期の症状に悩まれていませんか? 更年期によってうつ状態になった医療ライターの宇山恵風さんが、自身が更年期障害だと気付いた経緯と、ホルモン補充療法を行った体験談をつづります。

何かがおかしい…仕事のトラブルでめまいと嘔吐が2週続く

現代の日本人女性の平均的な閉経年齢は50~52歳。私はちょうど55歳になったときに閉経を迎えました。それまで「寝汗をかく」「汗が出て化粧ノリが悪い」「月経痛がひどい」程度の更年期障害と思われる不調がありましたが、乳がん、子宮がん検診でも特に問題がなかったため、異常な発汗や月経痛も、だんだん月経が飛び飛びになっていく状況と合わせて考えて、「誰にでも来る閉経が近づいているサイン」だと軽く受け止めていました。

月経が約1年来なくなって3か月ほど過ぎた頃のこと。仕事で少々落ち込むトラブルが2週連続して起こったその直後、仕事中なのに突然、我慢できない吐き気、めまい、頭痛に襲われました。

以前だったら昼休みに30分くらい横になれば仕事に復帰できたのに、何時間経っても夕方に突然起こっためまいと嘔吐が止まらず、職場の休憩室で横になり、どうにか吐き気が収まった深夜にタクシーで帰宅するという、今までに経験のない体調不良が起こりました。

2週連続して同じ体調不良だったので、これはもしかしたら「更年期障害かなあ?」と思い、勤め先の病院の婦人科にある更年期外来を予約しました。私は医療ライターをしながら、東京医科歯科大学の広報担当として医療コミュニケーションに関する仕事をしています。またメノポーズカウンセラーとして女性誌に記事を書くことが多く、更年期外来に関しても知識がありました。

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不安とは無縁のはずが知らない間に「うつ状態」!?

受診の日、更年期外来に行くと、医師の問診を受ける前に、さまざまな質問やアンケート用紙に記入するように言われました。おもしろかったのは、それがちょうど20代の恋愛適齢期に「食べ物は何が好き?」「土日は何して過ごすの?」と男性から質問されたことがあるような内容で、ちょっとドキドキしました。

回答を記入しているうちに、「もう長いこと、誰からもこんな質問をされたことがないし、自分が今、何に関心があって、これからどう生きたいかなんて、考えたこともなかったなあ……」と、自分自身に関心が少なくなっていたことに気が付きました。

問診、血液検査、尿検査などの結果、女性ホルモンの卵胞刺激ホルモン(FSH)エストロゲン値(E2)が激減して、閉経を示す数値にまで落ちていること、コレステロール値、中性脂肪などが高いことなどがわかり、さらに自分では全く自覚がなかった「メンタル面での落ち込みが強い」と指摘されました。これにはもうびっくり。昔から不安や落ち込みとは無縁の性格だった自分が、まさかうつ的な心理的状況にあったなんて……。