元NHKアナから転職 内多勝康さんが医療福祉の現場で思う「人を動かす」ために大事なこととは?

まずは情報を発信することが大事

内多さんのネームプレートに描かれた似顔絵は、NHK時代に視聴者が書いてくれたもの

―追求してきたことが形になったんですね。読者の中にも「こうしたい」という強い思いはあるのに、実際に動くことを諦めてしまう人もいると思います。一歩踏み出すためにはどうしたらいいでしょうか。

内多:「自分はこういう人間で、誰かの役に立ちたい」と常に発信しておくことだと思います。

すぐに何かにつながるとは限りませんが、たまたま縁があって「だったら、明日からこういうことをやりませんか?」と言われるかもしれない。

心の中で思っているだけでは、周囲の人には伝わりません。自分の思いを発信することで、しかるべき情報にもアクセスしやすくなります。それに、口に出して言っている以上、やらざるを得なくなりますしね(笑)。

でも、実際にやってみると、しっくりこないこともあるかもしれない。それでも「まあ、次の機会もある」くらいの感じで、おおらかな気持ちで自分の気持ちを発信し続けるといいかもしれませんね。

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内多さんのこれからの展望は?

―最後に、これからの展望をお聞かせください。

内多:最近では、利用者の数はずいぶん戻ってきましたが、それでもやはりコロナ禍前の水準には戻っていません。みなさまの寄付金に頼っている厳しい状況ですが、赤字をゼロに近付けたいですね。

ゆくゆくは「もみじの家」のような施設が全国にできて、どこにいても医療的ケアが必要な子どもと家族が幸せを感じることができる社会を夢見ています。

そして、ささやかな目標ですが、利用者の中には、子どもの人気職業であるYouTuberになることを夢見ている子もいるので、余裕ができたら知り合いのカメラマンに頼んでチャンネル作成の手伝いをするのもいいかも、なんて思っています(笑)。

取材・文=北川和子、構成・撮影=竹上久恵

※この記事は2021年4月の記事を再編集をして掲載しています。