ミリオンバンブーの育て方のポイント

用土


blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

観葉植物の栽培用に配合された、園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり


cam3957/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。冬は十分気温が上がった真昼頃に与えてください。夕方に水やりすると凍結の原因になることがあり、株が弱るので避けましょう。

ミリオンバンブーは、水を欲しがるので、水切れには注意します。ただし与えすぎにも注意し、バランスのよい水の管理を心がけましょう。

【地植え】

下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が白く乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

【地植え】

●元肥

植え付け前の土づくりの際に、緩効性化成肥料を少量混ぜておきます。

●追肥

地植えの場合はほとんど不要です。ただし、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見守りましょう。

【鉢植え】

●元肥

植え付けの際に、緩効性化成肥料を少量混ぜておきます。

●追肥

鉢栽培では土の量が限られており、水やりとともに肥料成分が少しずつ流れ出すので、定期的な追肥が必要です。ミリオンバンブーの追肥の適期は4〜6月、9月下旬〜10月です。この期間に、月に2回を目安に液体肥料を施しましょう。

注意する病害虫


Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

ミリオンバンブーに発生しやすい病気は、根腐れ病などです。

根腐れ病は、カビが原因の病気です。根に発生しやすいために、地上部の病気よりも発見が遅れやすいので注意が必要。日中に地上部が萎れるようになり、株に勢いがなくなっているようなら、根腐れ病を疑います。感染すると根が茶褐色〜黒に変色して枯死していき、地上部に水分や養分を送るのが難しくなって、やがて地上部の茎葉も黄色く変色して枯れてしまいます。株を引き抜いてみると、ほとんど根がついていないこともあるほどです。水はけのよい土づくりが大切で、また株が茂りすぎているようなら適宜間引いて風通しよく管理しましょう。適用する殺菌剤を利用するのも一案です。

【害虫】

ミリオンバンブーに発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

(広告の後にも続きます)

ミリオンバンブーの詳しい育て方

苗の選び方

ミリオンバンブーの株を選ぶ際は、傷がなく、幹がしっかりしていて、株全体の色艶がよいものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え


OlegDoroshin/Shutterstock.com

ミリオンバンブーの植え付け、植え替えの適期は、4〜5月か、9月頃です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗よりもひと回り大きな穴を掘って植え付けます。最後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回りほど大きい鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。ミリオンバンブーの苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、軽く根鉢をくずして植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢栽培の場合、植え付けてから時間が経つと、成長とともに根が詰まって生育が悪くなってしまうので、1〜2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。

植え替えの際は、以前に植えていた鉢よりも大きな鉢を用意して株を大きくしてもよいですし、同じ鉢を用いてサイズ感をキープしてもかまいません。鉢から株を出したら、古い根を切り取って整理し、根鉢を徐々にくずしてやや小さくしてから植え直します。

日常のお手入れ

【切り戻し】

ミリオンバンブーの剪定適期は、4〜5月です。弱っている枝や、絡みあって邪魔になっている枝などがあれば、基部までさかのぼって切り取ります。切り取ったすぐ下の節から新芽が出てくるので、切りたい位置で切ってもかまいません。切り取った元気な枝は、挿し穂として利用できます。

増やし方


Gheorghe Mindru/Shutterstock.com

ミリオンバンブーは、挿し木・水挿し、株分けで増やすことができます。

【挿し木・水挿し】

挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、ミリオンバンブーは容易に挿し木で増やせます。

ミリオンバンブーの挿し木・水挿しの適期は、4〜5月か9月頃です。新しく伸びた枝を3節くらいつけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器にしばらく入れて、水揚げしておきましょう。黒ポットに新しい培養土を入れ、十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。株として十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。

水挿しは、挿し木と同様に挿し穂を採取した後、水を張った容器に入れておき、発根させる方法です。水は毎日替えて、腐敗するのを防ぎましょう。十分に発根したら、黒ポットに植えて育苗し、根鉢が十分に育った頃に植えたい場所に定植します。

挿し芽や水挿しのメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【株分け】

ミリオンバンブーの株分けの適期は、4〜5月か9月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて株が分かれている部分で切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ株が増えていきます。

ミリオンバンブーはハイドロカルチャー栽培も可能


Mihailo Petrovic 993/Shutterstock.com

ミリオンバンブーは、ハイドロボールなどを使っての水耕栽培も可能です。ここでは、揃えておきたいものや、栽培方法などについてご紹介します。

用意するもの

まず、ミリオンバンブーの苗木、水栽培する容器(透明なほうが水の管理がしやすい)、ハイドロボール、根腐れ防止剤を準備します。そのほか、土入れや清潔なハサミ、割り箸(細い棒なら何でもよい)、水を入れたバケツも用意してください。ミリオンバンブーは株が大きく成長するので、大きめで深さのある容器を選ぶようにしましょう。

手順

ミリオンバンブーをポットから出して根鉢の土を落とし、水を入れたバケツの中で根を洗います。古い根や邪魔な根があれば切り落としてもかまいません。

容器の底に根腐れ防止剤を入れ、ハイドロボールを少し入れてミリオンバンブーを仮置きします。ミリオンバンブーの株が器とちょうどよいバランスになるように、高さを調整しながらハイドロボールを入れていきましょう。容器の隅々まで行き渡るように、割り箸でつつきながら詰めていきます。最後に、器の6分の1くらいを目安に、ハイドロボールに水を注ぎます。

育て方のポイント

ハイドロボールに植え付けたあとは、半日陰の場所に置いて管理します。表面が乾いたら適宜水やりをしますが、水は入れすぎないようにするのがポイントです。肥料はハイドロカルチャー専用のものを使い、5月から9月にかけて1〜2週間に1度を目安に与えましょう。

ハイドロカルチャーで育てるメリット

ハイドロカルチャーで栽培するメリットは、土を使わないので清潔で、インテリアに気兼ねなく栽培できることです。また、害虫が発生しづらいのも利点。ただし、あまり大きくは育たないので、大きくしたい場合は従来通りに培養土を利用した栽培がおすすめです。

(広告の後にも続きます)

ミリオンバンブーが枯れる原因


Peak1975/Shutterstock.com

枯れる原因は、①日光不足、②低温、③根詰まり、④根腐れが考えられます。

①日光不足/ミリオンバンブーは半日陰の環境を好むとはいえ、あまりに暗いと枯れてしまいます。日差しが差し込む窓際に置き、レースカーテン越しの光を当てるようにしましょう。

②低温/ミリオンバンブーは、寒さに大変弱いので、寒くなる前に室内に取り込み、暖かい場所で越冬させましょう。

③根詰まり/ミリオンバンブーは生育旺盛なので、植え付けた時のままの鉢で栽培し続けると、根詰まりして株が弱ってしまいます。1〜2年に1度を目安に植え替えることが大切です。

④根腐れ/水やりの頻度が多く、いつも湿った状態になると、根が腐ってしまいます。水やりは土が乾いてからたっぷりと与えるのが基本です。

株が弱ってしまった場合は、元気な部分の枝を切り取って挿し穂にし、挿し木や水挿しにして更新するのも一案です。

ミリオンバンブーで爽やかな部屋を演出しよう


Katerina Klio/Shutterstock.com

エバーグリーンのミリオンバンブーは、半日陰を好み、寒さに弱いので、基本的には鉢栽培にして季節に応じて適した場所に移動しながら管理するのがポイントです。インテリアグリーンとしても大人気なので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

Credit

文 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。