「日本通信SIM」は、積極的に安い料金を打ち出す姿勢が高い評価

――各社とも具体的にどういう工夫や努力で善戦しているのでしょうか。特に「J:COM MOBILE」「IIJmio」「mineo」の伸びが著しいですが、それぞれどういう魅力があるのでしょうか。

調査担当者 格安スマホは、若年層より40代~50代の中年世代の層が厚いため、そこに力を注いでいます。

「J:COM MOBILE」は、「J:COM TV」や「J:COM NET」などTVや光回線など顧客基盤となるサービスを提供しており、モバイルとセットの契約することでギガが増量される「データ盛り」が好調と聞いています。調査結果でも契約した理由で「光セット割で料金がお得になるから」が高い結果となっています。

「IIJmio」では、「スマホ端末が安く買えるから」とか、「mineo」では独自のコミュニティーサイトがあり、サービス・顧客サポートの満足度が高いなど、それぞれの強みを活かしています。

――ところで、シェアでは7サービスで最下位の「日本通信SIM」が、総合満足度と顧客推奨度で圧倒的1位ですが、どんな点がユーザーの心をひきつけたのでしょうか。

調査担当者 「日本通信SIM」は合理的プランという特徴的なプランを3つ用意しています。なかでも「シンプル290」という1GB 290円という格安のプランが人気です。また、直近で30GBプランを料金据え置きのまま50GBに増量するなど、積極的にお得な料金プランを発表したことが話題になりました。

そういう企業姿勢もあり、料金満足度が非常に高いです。ユーザーの通信料金を安くしたいというニーズに対応する姿勢が、総合満足度や顧客推奨度に表れていると思います。

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サブ利用や法人携帯、IoT活用に活路を見出す格安スマホ

――なるほど。それぞれの企業が大手4キャリアに対抗して頑張っているわけですが、格安スマホの今後はどうなりますか。シェア10%の壁を突破できるでしょうか。

調査担当者 楽天モバイルも含め4キャリアが低価格プランを提供しているため、個人のメイン利用のシェアを伸ばすことは高いハードルがあると思います。

ただ、格安スマホは2台目(サブ利用)としての契約や、法人携帯、IoT活用(あらゆるモノをインターネットに接続する技術)など幅広くサービスを提供しており、その分野は成長が見込めています。

通信業界は大手4キャリアで約9割を占める寡占市場ですが、その中でもサービスの増減に注目すると特徴が見えてきます。特に大手3キャリアの本ブランドのシェアが低下し、「楽天モバイル(MNO)」や「Y!モバイル」「UQモバイル」といったサブブランドの増加が顕著です。

通信料金がデフレ化するなか、各社は「ポイ活」とか「マネ活」とか、経済圏に顧客を囲い込むなど、ユーザー1人あたりの収益を上げる「ARPU」(アープ)向上に向けた取り組みを開始しています。次回の調査で変化が起きるか注目しています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)