「陰謀論にハマった人」の目を覚まさせる言い方とは? ひろゆきの使える“ズルい”言いまわし

仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。

どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。

◆陰謀論に染まった親の目を覚ます言葉

定年後の暇を持て余してか、「両親がネットで見た陰謀論にハマってしまった」なんてケースが増えている。食事の席でも陰謀論を語りだされたらたまったものではないが、もうちょっと理性的になってもらうには、どう諭せばいいのか。いきすぎた陰謀論から目を覚まさせるには、どうすれば?

◆陰謀論者に気づきを与えるには、事実ベースの知識や情報集めを

そこそこ頭がいい人のほうが陰謀論にハマる傾向がある――そんな印象が僕のなかにはあります。というのも、陰謀論にハマる人というのは、「テレビのニュースや新聞よりも自分の調査能力のほうが優れている」と思い込むくらいの自尊心があったりするので、「自分が信じている説のほうが正しい」と思い込めたりするのですね。

しかも、わりと“いい人”と思われるような人のほうが、陰謀論に染まりやすかったりします。いい人は、「人間は善意で動くので社会はよりいい方向に行くはずである」と信じていたりします。でも、正義の反対が絶対に悪というわけではなく、別の正義が存在していることもあります。例えば、過去の日本がそうだったように、よりいい方向を目指した結果、他国に対する侵攻を選んだりするわけです。そして世界ではいまだに似たようなことが起き続けています。

つまり、陰謀論だろうが戦争だろうが、単に正義の方向性が異なっているだけということもあるわけです。それぞれに自分の正義だと考える論理があって、見方や立場を変えれば正しいと思える。だから陰謀論にハマった人を諭すのは、カルト宗教にハマった人を諭すのと一緒で、かなり難しいのが現実だと思います。

ただ、皆無というわけではなく、陰謀論を語る相手の論理を肯定しつつ、「この事実についてはどう思う?」という感じで証拠の具体性を詰めていく方法はあります。

例えば、「新型コロナワクチンにはマイクロチップが入っている」という陰謀論なら、「マイクロチップを入れることは可能だよね。でも、犬猫の体内に入れるチップだって直径1~2㎜、長さ8㎜なんだから、ワクチンの瓶に何本も入っていたら見てわかるのでは?」という感じで、事実をベースにひとつずつ誤解を解いていく。すると相手も、「ひょっとしたら間違っているのかも?」と気づいて話を聞いてくれる可能性もある。

◆そのためには…

とはいえ、そのためにはそれなりの知識や情報を集めないといけません。もし現段階で事実ベースの証拠がないのに「それはただの陰謀論だ」とか言うと、「北朝鮮による拉致被害だって昔は陰謀論だと言われていた」といった論理で自分が正しいことを押してきます。

場合によっては「こいつは話にならない」と、いっさい話を聞いてくれなくなる可能性もありますし、逆に諭されて“ミイラ取りがミイラになる”危険性もあるので気をつけましょう……。

◆陰謀論に染まった親の目を覚ます言葉とは…

× それはただの陰謀論だ

◎ この事実についてはどう思う?

構成/杉原光徳(ミドルマン)

―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』