ポップなネオンの店内はどこを撮っても映える(新宿店)

●3年連続でミシュランのビブグルマンを獲得した香港発の米線レストラン『譚仔三哥(タムジャイサムゴー)』。新宿・恵比寿・吉祥寺と東京で3店舗を展開する人気チェーンの美味しさの秘密とは?

 外食文化が発展している香港の「行列をなす人気店」と聞いただけで期待値が爆上がりしていましたが、食べて心底納得できました。香り豊かで深い味わいのスープがジワッと胃を温め、体に優しい感じがハンパない……! 体のすみずみまで癒される感じが、すごかった。

 その人気店とは、中国生まれのライスヌードル「米線(ミーシェン)」専門のチェーン『譚仔三哥(タムジャイサムゴー)』のこと。2011〜2013年の3年連続でミシュランガイドの「ビブグルマン(価格以上の満足感が得られるコスパのよい店)」に選出され、2022年の春には待望の日本進出。現在は都内に新宿、恵比寿、吉祥寺の3店舗を展開しています。現地の味を忠実に再現してあることから、手軽に“香港めし”が楽しめる、スポットのひとつとなりました。

 譚仔三哥の原点は、1997年に香港でオープンした『譚仔雲南(タムジャイウンナン)』。「タム家の雲南米線」という意味で名付けられています。辛さを控えめにしたスープが売りでしたが、そこからよりスパイシーな味付けで独立したタム家三男の新チェーンが、この譚仔三哥なのです。

 今回、新宿と吉祥寺の譚仔三哥を訪れ、その米線をじっくり味わってきたので、その魅力をご紹介していきましょう。

こだわりの自家製スープと米線の旨さと食感はヤミツキになる旨さ


店内に漂うスパイスの風味に異国情緒を感じ、楽しくなってくる

「米線(ミーシェン)」は、雲南省発祥のライスヌードル。もっちりとした独特の食感に「タピオカ粉でも入ってるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、材料は米と水のみです。もっちり感は、麺の製造過程で生まれるもの。


香港の譚仔三哥で作られた本国と同じオリジナル乾麺を使用。一般的な米線(ミーシェン)は中華食材専門店でも販売されていることがある

 米を発酵させてから麺にするという通常の工程に加え、店ではお湯でもどした乾麺を、さらに冷蔵庫で一晩寝かしているのです。それによって生まれる、もっちもちの歯ざわり! 対して、口あたり&のどごしはツルッツル! 同じライスヌードルでも、フォーともビーフンとも全く違います。この麺を、風味豊かなスープとすするのは、ちょっとした快感と言えるでしょう。


選べる具材は単なるトッピングに非ず。選んだスープで具を煮るので、チョイス次第で様々なうまみのスープができ上がる

 注目のスープは「香り」「うま味」「辛み」を兼ね備えた完全オリジナル。6種の味からチョイスした後、辛さのレベルと麺の量、そして25種以上の具材から、好きなものを選んでいきます。ちなみに、お店の人にどんな出汁が使われているか聞いてみたところ、当然のごとく“企業秘密”でした(笑)。


日本限定&期間限定で登場した新メニュー「チーズトマト米線(海鮮or肉)1380円」の新作も、酸味とコクが最高。トマトスープに加えるチーズはさらりとしたソース状

 筆者がまず、期間限定というレア感につられて食べたのが「チーズトマト米線(ミーシェン)」。麺は通常の量でもそこそこのボリュームがありますが、トマトスープの酸味とチーズのコクでツルツルと完食できてしまう、ヤミツキになりそうな味わいでした。具のチョイスによって野菜をしっかり食べられるのも嬉しいポイントです。「は〜、ウマい!」を何回繰り返しながら食べたでしょうか。

吉祥寺店では基本のクリアスープの米線を実食


全スープのベースとなっている「クリア」(650円)。あっさりした優しい風味がじんわりと胃にしみこんでいく[食楽web]

 別の日に吉祥寺店を訪れた際には、最もシンプルなスープ「クリア」をいただいてみました。他のスープ全てのベースになっているという、基本の“キ”がコレなのです。具はシンプルかつ定番の味を求め、肉みそ、キクラゲ、パクチーをチョイス。トマトスープとはまた違う、優しく深い味わいに、これまた黙々と麺をすすり続けました。


輪切りレモンたっぷりの「香港レモンティー」や「香港鴛鴦(えんおう)茶(コーヒーと紅茶をブレンドしたドリンク)」をお供に楽しむのが香港流(ともに330円)。アルコールメニューや一品料理(シグネチャーフード)もある

 なお、吉祥寺店は立地的に家族連れも多く訪れるそうですが、子どもはただでさえ麺好きな生き物。さぞかしよく食べてくれるだろうな〜と、ほほえましい想像をしてしまいます。


吉祥寺店の店舗限定ドリンク「自家製スパイスレモンソーダ」(430円)も、アジアごはん好きにはたまらない味わい。アルコール入りの「自家製スパイスレモンサワー」もある

 東京といえば、あらゆる国の料理が食べられる異国ごはん天国で、どの店もそれぞれの魅力を備えています。そんな中にあって、譚仔三哥は、ヘルシーでいてお一人様でもサクッと食べられる手軽さに魅力を感じました。まだ未体験という方、街歩きに疲れたらぜひお近くの譚仔三哥へ!

●SHOP INFO

店名:譚仔三哥 タムジャイサムゴー 新宿中央通り店

住:東京都新宿区新宿3-28-16 新宿コルネ坂詰ビル1・2F
TEL:03-3341-2772
営:11:00〜22:00(21:30LO)
休:無休

(新宿店・チーズトマト米線撮影◎工藤真衣子)

●著者プロフィール

ムシモアゼルギリコ
フリーライター。記事の執筆のほか、TV、ラジオ、雑誌、トークライブ等で昆虫食の魅力を広めている。昆虫食だけでなく、一般の食卓では見かけないような食材を追うのが好き。著書に『びっくり! たのしい! おいしい! 昆虫食のせかい むしくいノート』(カンゼン)、『スーパーフード! 昆虫食最強ナビ』 (タツミムック)