「もっと幅広く、たくさんの方に今のAKB48を見ていただきたい」
刷りあがったばかりの写真集を手に笑顔を見せるAKB48の山内瑞葵さん
―― 前総監督の向井地美音さん(26)や元NGT48の本間日陽さん(24)の写真集を参考にしたと聞きました。今後は、山内さんの写真集を後輩の皆さんが参考にすることもあると思います。仕事の幅も広がるかもしれません。そこで思い出すのが山内さんがセンターポジションを務めた「失恋、ありがとう」(20年発売)です。ちょうど発売とコロナ禍が本格化した時期が重なり、販売促進活動や握手会などのイベントが大幅に制限され、山内さんにとっては悔いが残る環境でした。「乃木坂に、越されました?AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!?」(テレビ東京、21年)では、当時を思い出して涙を流す場面もありました。センターをもう一度、という思いはありますか。
山内: あります。ありますね、それは。AKB48にいるうちは、やはり常に上を目指し続けたいと思います。「失恋、ありがとう」でセンターを経験して、その頃はコロナ渦で、自分が想像していたセンターとは違う……やはりコロナというのは誰が悪いというわけでもないし、当時は何をしたらいいのか、何が自分にできるのか分からず、とにかくがむしゃらに楽曲を大切に歌って、皆さんにお届けすることしかできませんでいた。それを経験してから今までに、(次のシングル曲の)「根も葉も Rumor」(21年)があったりと、いろんな経験をしました。今はラジオ(bayfm「柱NIGHT! with AKB48」)のメインパーソナリティーを担当させていただいたりして、環境がどんどん変わっていくうちに、自分もあの時よりも強くなっていると思うし、あの頃より変わっていると思うので……うん。
―― 言い方が難しいのですが、山内さんは環境のせいで不幸な立場にあったと受け止める人も多いと思います。「平時」にもう一度センターをやりたい、ということですね。
山内: そうですね……先輩メンバーもたくさん卒業されていて、私自身も先輩になってるので、後輩もたくさん入ってきてくれた今、今のAKB48にしかない魅力もたくさんあります。もっと幅広く、たくさんの方に今のAKB48を見ていただきたいという思いが強くあるので、伝える一人として先頭に立っていきたい、という気持ちがすごくあります。
―― AKB48の主要メンバー、と言われることも多いと思います。その一人としての決意表明だと受け止めました。一方で、AKB48は一生続けられるものでもありません。卒業後もエンターテインメント業界で活躍されると思いますが、そのあたりの考え方についてうかがいます。山内さんは元HKT48の宮脇咲良さん(26、現・LE SSERAFIM)に憧れてAKB48のオーディションを受けたと聞きました(編注:山内さんと宮脇さんは、グループ加入前に劇団四季の「ライオン・キング」に子役として出演していた)。宮脇さんは今は韓国が拠点ですが、山内さんもそういった方向性を考えているのか、あるいは国内で演技なり歌をやっていくのか……中長期的な話ですが、どういった思いを持っていますか。
山内: そうですね……私は卒業してもステージに立ち続けたいと思っています。AKB48に入る前に、ミュージカルにたくさん出させていただいていたので、演技のお仕事もすごく興味があります。もっといろいろな役を重ねて演技力を鍛えて、表現の幅を広げていきたいです。最近すごくやりたいなと思っているのが、やはりステージに立って歌って踊ることです。ステージに立って歌って踊ってる自分が、自分で言うのも変なのですが、一番輝いているな、と思うので…。最近はゆきりんさん(柏木由紀さん=33)も卒業されて、ゆきりんさんのようなソロでステージを作っているメンバーもいないので……この夢はまだどこにも言っていないのですが、ソロで(コンサート)ツアーをして全国を回って、いろいろな場所で自分がステージに立って歌って踊っている姿をたくさんの方に見ていただいて元気に幸せになってほしい、私が幸せにしたい、という思いがすごく芽生えました。
―― なるほど、「一生アイドル」みたいな……。松田聖子さん(63)が、それに近い存在かもしれません。
山内: 素敵ですよね。そういう、何かのステージに立って輝いていたいなと思います。
山内瑞葵さん プロフィール
やまうち・みずき 2001年生まれ、東京都出身。16年に16期生としてAKB48に加入。52枚目のシングル「Teacher Teacher」(18年)で初めて選抜入りし、「失恋、ありがとう」(20年)でセンターポジションに抜擢された。最新シングル「恋 詰んじゃった」(24年)まで8作連続で選抜入りしている。20年にはソロコンサートも開いた。愛称は「ずっきー」。