白血病などの治療で骨髄移植が必要な患者のため、ドナー(提供希望者)の仲介などを行っている「骨髄バンク」。
X(Twitter)ではドナー登録を行った人や、移植を行った人の体験談が話題になることがあります。特にドナー候補者に選ばれたものの、諸事情で提供を辞退したというエピソードなどは議論になることもあるようです。
ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド【J-CAST出張版】」、今回は「骨髄バンクのドナー事情」について掘り下げます。
骨髄提供をしたくてもできない人の事情
骨髄バンクは、提供を希望する人のうち健康状態などの条件をクリアした人が登録され、患者との適合が認められた際に候補者として通知が届くシステムになっています。
しかし、いざ通知が届いても候補者側の都合によって断念せざるを得ないケースがあるようです。Xでの辞退の体験談に注目が集まりました。
投稿したXユーザーは、健康も問題なく、勤務している会社も骨髄提供に理解があったことなどから、「自分は万全の状態で(人助け)できる」と思っていたそう。
ところが、いざ候補者として通知が来たタイミングで、投稿者自身が手術を控えていたほか、仕事が忙しく骨髄提供のための休暇を取りづらくなったため提供を断念することに。投稿者は「タイミングが悪い時でも人助けの機会はやってくることを分かってなかった」と振り返っています。
「骨髄バンクに登録したのに移植を断るやつ何考えてんだ」という人に読んで欲しい、辞退したドナーの話「タイミングが悪くても人助けの機会はやってくる」 – Togetter
Xでは「私もドナー断ってしまったのだけど、仕事的に繁忙期には休めないって思ったのと、ドナーが来たタイミングで体調が悪かったからなんだよな」といった似たような形で辞退したという人の体験も複数寄せられました。
また、それぞれに事情があって提供を受けられないことがあるという事実を踏まえた上で、それでも「(都合を合わせることが難しいから)無責任にドナー登録なんて出来ないわ!なんて考えが広まらないで欲しい」「むしろ軽いノリで皆登録したら良いと思うわ」と登録を勧めるユーザーも少なくありませんでした。
骨髄提供したいという意志があっても、現実的なハードルで提供ができないというパターンもあるのだ、という事情を周知するきっかけになったようです。
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「他人のために身体に穴を…」骨髄提供に反対する家族の心情
骨髄提供には、ドナー候補者本人だけでなく、候補者の両親や配偶者など家族の同意も得る必要があります。ドナー候補に選ばれたXユーザーが、家族から断固反対されてしまったという体験談が注目を集めました。
そのXユーザーは、ドナー候補に選ばれたので家族に同意を求めたところ、母と祖母から「他人のために身体に穴を開けるなんて」と言われたそうです。
投稿者は医療関係者のようで、骨髄提供にあたってそこまで大きな穴を開けるわけではないことは知っているものの、「頭から否定モードに入った他人に諭すことの難しさを痛感しています」と書いています。
ドナー候補者に選ばれたと連絡があったので、志願したいと母に相談したら断固反対された←骨髄移植は最終同意の際に家族の同席が必要 – Togetter
他のXユーザーからは「母親が『絶対やめて』と拒否し、数日にわたって説得するも聞く耳を持たない状態だった」「自分の体のことをなぜ反対されるのか?と説得したが、親の心情は難しかった」など、実際に家族から難色を示されたという声が挙がりました。
一方で、「リスクがあるから自分の子どもには勧められないという親心は分かる」と親御さんの気持ちに共感を示すユーザーも。「移植という言葉が、臓器移植や大手術を連想させて、怖いと思われるのかも」と反対する理由を推察する声もありました。
日本では、骨髄提供による死亡事例はありませんが、合併症や後遺障害といった身体的なリスクはゼロではありません。もちろん、採取はドナーの健康と安全を第一に行われますが、それでも家族にリスクが及ぶ可能性があるなら避けたいと考えることは、心情的にある程度仕方のないことかもしれません。