海外のガーデンでも設置されていることが増えている「バグ・ホテル」をご存じですか。バグ・ホテルは、虫たちの居場所になったり、冬越しするための棲みかです。日本ではまだあまり馴染みがありませんが、ヨーロッパでは一般的で、広く家庭に作られています。この記事ではバグ・ホテルとはどのようなものかから、作り方とその注意点について詳しくご紹介します。
バグ・ホテルとは
Dawn Quadling/Shutterstock.com
まずはバグ・ホテルとはどのようなものかについてご紹介しましょう。
バグ・ホテルの概要
Ground Picture/Shutterstock.com
バグ・ホテルとは、虫たちが過ごすための人工的な場所を提供するもので、これは生物多様性保全の取り組みの一環として注目されています。野鳥のための巣箱のようなものですね。都市環境の中でも虫たちが過ごしやすい場所を提供することで、さまざまな虫を呼び込み、昆虫の多様性を守る手助けになるのです。また、これらの虫たちはガーデニングや農業の面でも、春になると花粉の媒介や果樹の交配をしてくれるというメリットがあります。
バグ・ホテルは、バグ・ハウスやインセクト・ホテル、インセクト・ハウスなどとも呼ばれています。日本ではまだあまり知られていませんが、ヨーロッパではよく庭に設置されており、バグ・ホテルのデザインコンテストが開催されるほどポピュラーなものです。まるでデザイナーズマンションのような作品の数々は、見ているだけでも面白く、ガーデンでもアクセントになってくれそうです。
バグ・ホテルの基本的な構造
paikong/Shutterstock.com
基本的なバグ・ホテルの構造は、廃材のボードやパレットを使用して枠を作り、その隙間にさまざまな素材を詰めたもの。詰める素材は多種多様で、わらやコルク、松ぼっくりなど、虫が好むものを使用します。自分のアイデアを活かして自由に作ることができます。
生物多様性とは
VectorMine/Shutterstock.com
生物多様性とは、バラエティーに富んださまざまな生物の種類や個性、そして互いの違いを活かしながらつながり、調和して生きている状態を指します。生物多様性の国際条約では、生物多様性は3つのレベル、つまり生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性があるとされています。特に昆虫では、多様な種類が存在することでさまざまな種類の植物の受粉を助けたり、昆虫を捕食する生き物の保全に繋がったりといったメリットがあります。科学的に解明されている以外にも生物同士のネットワークはあるとされ、可能な限り生物の多様性を損ねないような配慮が必要であると考えられています。
(広告の後にも続きます)
バグ・ホテルに必要な材料や基本的な作り方
viki2win/Shutterstock.com
それでは、実際にバグ・ホテルを作るにはどのようにすればよいのでしょうか。ここではバグ・ホテルの作成に必要な材料や、基本的な作り方について詳しく解説します。
バグ・ホテルの材料
JurateBuiviene/Shutterstock.com
バグ・ホテルを作成する際は、防腐剤や塗料などの化学物質を避け、昆虫が好む天然素材を活用することが大切です。基本的なバグ・ホテルでは、木箱をベースとして使用します。この木箱は廃材を利用して自分で組み立てることも可能です。中に詰める素材は、小枝や落ち葉、松ぼっくり、コルク、石、樹皮、アシや竹の束、レンガ、素焼き鉢など、好みのものを複数用意しましょう。素材の固定には麻ひもなどを使用します。さらに、必要に応じて素材に穴を開けるためのドリルや、加工するためのペンチも用意します。
基本の作り方
encierro/Shutterstock.com
バグ・ホテルの基本的な作り方は、枠を作って素材を詰めるだけです。作り方の一例としての手順を以下にご紹介します。
① バグ・ホテルの設計図を作る
まず、どこにどんな虫が来てほしいかを考え、それに合わせて詰める素材を決めます。
② 必要な素材を集める
次に、設計図に基づいて必要な素材を集めます。これらの素材は、必要に応じて長さをカットするなどして加工します。
③ 木箱を用意する
素材を集めたら、それらを詰めるための枠を用意します。これは、既製の木箱を使用するか、自分で木材を組み立てて箱を作ります。
④ ベースに素材を詰めていく
最後に、木箱に素材を詰めていきます。これでバグ・ホテルが完成です。