厚生労働省が違法性を警告した「アプリ禁止」システム

――それぞれ特徴があるのですね。ところで、【図表3】では利用経験者がサービスに対して、「口座登録不要で、決済サービスで給与が支払われる」といった機能などの追加を望んでいます。

素早い支払いを望む要望が多いですが、なぜ、こうした機能を望むのでしょうか。利用したことがない人にもわかるよう説明してください。

担当者 先ほど「副業でやっている人が多い」と述べましたが、サービスの利用頻度を見ると、「半年に1回以下」(17.2%)が最も多く、次いで「週に1回程度」(17.0%)、「月に2回~3回程度」(16.4%)と続きます。つまり、半数以上が「週に1回以下」なのです。

このことから、スポットワークは定期的に利用されるのではなく、突発的に利用される「副業」だと考えられます。突発的な「副業」では、急な出費を補填する必要に迫られるなどの利用が考えられるため、このような結果になったのではないかと思います。

――なるほど。こうしたサービスに問題点はないのでしょうか。サービスの中には、無断で仕事をキャンセルした利用者に二度とアプリを使えないようにするシステムがあるとして、今年(2024年)10月、厚生労働省がサービス事業者に対し、職業安定法に違反すると警告する通達を出しました。

担当者 無断キャンセルを行った利用者に対してアプリの利用を禁止するシステムに対して、厚生労働省が違法性を指摘し警告を行った件について承知しております。このような事例が報道されていることからも、今後は法的な整備がさらに進められるべき課題があると認識しています。

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今後の課題は「給料デジタル払い」でスポットワークを!

――今後、スポットワークサービス業界はどうなっていくでしょうか。

担当者 業界最大手の「タイミー」が今年7月に東証グロース市場に上場を果たしました。また、10月には人材サービスのディップが業界に参入、「スポットバイトル」を開始して日本初のボーナス制度を取り入れています。

今後、厚生労働省などの指導のもと法整備が進み、さらにボーナス制度などそれぞれが差別化を図り、サービスの利便性や競争力が一層高まることが期待されます。

そこで強調したいことは、「サービスで追加してほしい機能」として、利用経験者は今年9月から始まった「給料デジタル払い」を希望している人が多いことがわかりました。スポットワークに「給料デジタル払い」がどう組み込まれていくのか、注目していきたいです。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)