上司にイボ痔だと言えず…



会社勤めをしていた私は、自由に長期休暇を取れない状況にありました。そこで思いついたのが、年末年始休暇を利用するということ。

会社には早めに休暇に入るということにして、手術のスケジュールを確保しました。男性の上司に「いぼ痔の手術を受ける」と言うのは恥ずかしく……婦人科系の手術と偽って報告しました。うそを伝えて申し訳ないという気持ちもありましたが、本当のことを言う勇気はありませんでした。

手術が差し迫ってきた私をさらに悩ませたのが、生理の問題。ちょうど、手術予定日と生理が重なりそうだったのです。「手術が延期になるのでは……」と恐る恐る主治医に伝えたところ「まったく問題ない」と軽く笑われ、ほっとしたような気恥ずかしいような、複雑な気持ちを味わいました。

入院した初日は、同じ病棟で手術をする予定だという女性の姿を多く見かけました。いぼ痔が自分だけではないことを知り、安心したのもつかの間。同じ病室の女性はすべて経産婦さんということを知りました。「周りのみんなは出産の副産物として治療をしているのに、私だけただ痔を悪化させてしまった……」と思うと、恥ずかしいやらショックやらで早くいぼ痔から解放されたいという気持ちがより一層強まりました。

そしていよいよ手術当日。下半身麻酔ののち、手術は問題なく終えることができたのですが、問題は術後でした。麻酔が切れた後の痛みはまさに地獄そのものだったのです。特に排便時は気を失いそうになるほどの痛みに襲われました。

座る行為すら満足にできず、すっかりドーナツ型のクッションが愛用品に。産後でもないのにドーナツ型のクッションが手放せない自分に情けない気持ちにもなりましたが、痛みには勝てません。術後しばらくは、ドーナツ型のクッションが私の相棒となりました。

手術から数年が経過した今でも、術後の痛みははっきりと思い出せます。上司にうそをついてスケジュール調整したことや手術のしんどさ、二度と同じ過ちは繰り返したくないという思いから、手術以降は水分補給を欠かすことのないよう水を持ち歩くようになりました。

そのおかげか、最近では便秘にもなりにくくなり、便通が改善されたように感じています。便秘が改善されたおかげか、あれから現在に至るまでいぼ痔は再発していません。

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まとめ

20代のころの私は、まさかいぼ痔で手術することになるとは夢にも思っていませんでした。初めて肛門科を受診したときに受けた先生からの指導を守っていれば、上司にうそをつくことも、病室で情けない気持ちになることもなかったのにと、今なお悔やむこともしばしば……。今は二度といぼ痔を再発させないよう、こまめな水分補給と冷え対策、ストレスをため過ぎない生活を心がけています。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

監修/里村仁志先生(里村クリニック院長)
消化器疾患が専門。2003年 獨協医科大学医学部卒業、2005年獨協医科大学第1外科、2016年さいたま赤十字病院外科を経て、現在に至る。

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています

著者/いけがき いくみ
30代女性。不妊治療を経て結婚7年目に待望の第1子を出産。産婦人科で務めていた経験を活かして、寄せられた体験談をわかりやすく伝えられるよう執筆している。