私のスマホへ、夫の幼なじみの女性から挑戦的なメッセージが届いたのは1年前。結婚して間もない私より、昔から付き合いのある自分のほうが上だとマウントを取ってきたのです。しかしそれからすぐ、夫は病に倒れ、そのまま亡くなってしまいました。葬儀が終わると、その幼なじみからまた連絡が入り……。
来るなら来い!
忘れもしない、厚顔無恥なあの女から届いたメッセージに、私はドン引きでした。夫が闘病生活に入る前に、妻の私を見下すマウンティングをしてきた人物です。私が返信せずにいると、さらに信じがたい追伸が。
「ご主人のこと、ご愁傷様です」
「お線香上げに行っていいですか?」
「どうぞ」
「来る覚悟があるならね」
「え? 来る覚悟って?」と問い返してきた相手に、私は宣戦布告。「言葉通りの意味です。あなたは、夫が病気で倒れるまで不倫関係を続けていたわよね? 夫が亡くなる前に洗いざらいすべてざんげしたのよ。お香典にいらっしゃるなら、慰謝料を請求させていただきます。その覚悟をしておいてくださいね」
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知らないのはどっち?
数日後。本当にお線香をあげに来た幼なじみの女性は、胸に赤ちゃんを抱いていました。
「あんたたち、結婚期間はたったの3年でしょ? 幼なじみの私のほうが付き合いが長い。それだけじゃない! 知らなかっただろうけど、私、彼との子を出産したの。話そうとしていた矢先に病気で倒れちゃったから言いだせなかっただけ。最初は産むのをやめようと思ったけど、彼が亡くなったら遺産は本妻が独り占めすることになるでしょ? そう思ったら悔やしくて」
私はあまりのことに、夫の遺影を前に噴き出して笑ってしまいました。
「何がおかしいの! 不倫の慰謝料って高くても100万くらいよね。そんなの払ってやるから、この子に遺産を相続させなさいよ。1人息子の彼の実家が昔から資産家なのは知っているんだから!」
豪語する幼なじみは、本当に何も知らないようです。
「知らないのはどっち……? 夫は不妊症だったのよ。診断書もある」
「は? え? なら、この子は……」と驚きつつも、心当たりがある様子の彼女。
「少なくとも夫の子じゃないわね。認知もしていないし、遺産を相続する権利はありません」
「じゃあ……私は、遺産ももらえないのに、息子を育てなきゃいけないの?」
「当然。子育てはもちろんだけど、慰謝料返済もしっかりしてもらうわ。不倫関係だった期間や、夫を亡くしたばかりの私に、夫との子を出産したから遺産をよこせなんて虚偽を言ってきたことを考えたら、300万円は請求したいところ」