母の姉にあたる80代の伯母が2人立て続けに認知症と診断されました。2人とも介護施設に入所したと聞き、最初は「介護施設に入れるなんて……」と嫌悪感を示していた母でしたが、施設で元気に過ごす伯母たちの姿を見て、環境が大切だと実感したようです。今回は、母の意識を変えた出来事についてお話しします。

元気だった伯母2人が認知症に



母は7人兄姉の末っ子。4人の姉と2人の兄がいます。私の叔父にあたる母の兄の1人はすでに亡くなっていますが、ほかの兄姉は70を超えても全員足腰も元気で、特に病気もせず健康。母はそんな兄姉たちと年に1回は集まり、特に近くに住む姉たちとはよく旅行や買い物に行ったりしていました。

しかしある日、母の2番目の姉にあたる伯母Bが体調を崩したと連絡がありました。1人暮らしでしたが、足を痛めてあまり外出しなくなってしまったことから、ごはんを食べる量が減り、あるとき従姉妹が家を訪ねると明らかに体力がなくなっていた様子。病院に連れて行くと脱水症状を起こしていたとのことで、病院に入院しましたが、心配するほどでもないようでした。

その数日後、今度は母の1番目の姉に当たる伯母Aの様子がおかしいため、病院で検査をすると連絡がありました。体調的には何も問題はないものの、泥棒が入って財布を取られたと警察を呼んだが結局何事もなかったというようなことが何度もあったそうで、行動面で少し心配が増えてきたとのこと。結局伯母Aは認知症と診断され、介護施設に入居する方向になりました。

そんな矢先、体調不良で入院していた伯母Bも、検査をするうちに認知症の症状が出ていることが判明!ごはんを食べていなかったのも認知症による行動だったそうで、こうして立て続けに伯母が2人も認知症であることが判明し、母は大変ショックを受けていました。

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介護施設に良いイメージを持たない母



伯母Bも1人暮らしだったこともあり、介護施設に入居することに。幸い2人とも、すぐに施設が見つかったおかげで、入居まではスムーズに事が進んだそうです。しかし、母は伯母たちの介護施設の入居に反対をしていました。「認知症といっても家族の顔は覚えているし、特に伯母Aは健康上は何も問題ないのに介護施設に入れるなんて!」と言うのです。

今では介護施設で介護のプロに生活の介添えをしてもらうのは当たり前とも言える時代ですが、母は昔のイメージで、「介護施設=家族に見捨てられた老人が入るところ」という意識があるようなのです。私は「今は仕事や家族などいろいろな理由で親の面倒を見るのも難しいのよ。お風呂やトイレ、ごはんの世話やリハビリなど、今ではさまざまな分野で専門のプロがいて、介護福祉士さんや作業療法士さんなどにお願いするのが、本人にとっても一番いいんだよ」と母に話しました。

母は私の言葉に少し理解を示しながらも、やはり自宅で過ごせない伯母たちがかわいそうだと言うのです。私はその言葉に「でも一番かわいそうなのは、適切な治療や対応を一切されず、家族を困らせながら症状が悪化していくことだよ」と返すと、少し納得したようでした。

伯母Bは、脱水症状も良くなり、健康面でも大丈夫とのことで、病院の退院後に介護施設に入居。そこで元気そうに過ごしている伯母Bの写真が送られてきて、私も母も少しほっとしました。しかしそんなとき、伯母Aにある出来事が起こったのです。