グッチの日本上陸60周年を記念した展覧会「GUCCI COSMOS」が12月1日まで、京都市京セラ美術館で開催されている。100年以上にわたって継承されてきたグッチの精神と創造性が体感できる展覧会だ。
クリエイティビティーの系譜
筆者撮影
この部屋に入ると、1970年代から現在に至るまでのグッチのコレクションをまとったマネキンがランウェーを歩くように展示されており、圧巻の風景だ。展示は年代ごとではなく、カラーやインスピレーションによって並べられ、グッチの価値観や伝統が変わらないものであることを証明している。ここに並ぶ服を手がけたデザイナーたちは何人もいるけれど、全体として見渡したとき、「グッチ」という統一感のとれたものになっているところが大きな魅力でもある。
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ライフスタイル賛歌
この空間に足を踏み入れると、グッチがレジャーとファッションのつながりをリードしてきたことがわかる。1970年代に誕生したGGパターンのテニスバッグや1960年代のヘンプ製のピクニックセットなど、スポーツやライフスタイルに対するグッチの揺るぎない情熱が感じられる。これらの品々とともに展示されているのは、京都市京セラ美術館のコレクションの作品の数々。余暇や屋外で人々が楽しむ様子を描いた日本の作品だ。稲垣稔次郎の「牡丹之図和紙糊絵屏風(ぼたんのず わしのりえ びょうぶ)」(1943年)、菊池契月の「紫騮(しりゅう)」(1942年)、丹羽阿樹子の「ゴルフ」(昭和初期)などの作品がグッチの品々と相まって、暮らしやレジャー、そして人の喜びが巧みに表現されている。